磁気力線

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本ページでは…

 本ページでは、電流から生じる磁気力線という量を導入し、磁気力線の密度\(\boldsymbol A\)は次のガウスの法則

\begin{align*}\int_S\boldsymbol A\cdot d\boldsymbol S=0\end{align*}

とアンペールの法則

\begin{align*}\int_C\boldsymbol A\cdot d\boldsymbol l=I\end{align*}

を満たすことをみる。

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前ページでは、自由電流は外部に取り出せる電流であるが、磁化電流は外部に取り出せない電流であることを確認した。

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内容

磁気力線

 電流間に働く力の様子を視覚的に表現するために描かれた仮想的な線を磁気力線(または磁力線)という。

 磁気力線は以下のルールを満たす。

ルール①

磁気力線の湧き出し源はない。

ルール②

磁気力線は途切れたり、別の磁気力線と交わったりしない。つまり、磁気力線は閉曲線となる。

ルール③

向きが磁気力線の向きであり、大きさが単位面積当たりの磁気力線である「磁気力線の密度\(\boldsymbol A\)」を定義できる。

ルール④

電流に弱い力が働く場所では磁気力線の密度\(\boldsymbol A\)は疎に、電流に強い力が働く場所では密となる。つまり、磁気力線の密度\(\boldsymbol A\)は電流に作用する場の強さを表す。

ルール⑤

電束の密度\(\boldsymbol A\)と面積素\(d\boldsymbol S\)との内積を閉曲面\(S\)上で足し合わせたものは、ゼロとなる。

\begin{align*}\int_S\boldsymbol A\cdot d\boldsymbol S=0\tag{1}\end{align*}

 ※これはガウスの法則であり、ルール②とルール③を数式で表したものである。

 ※面積素\(d\boldsymbol S\)はベクトルであり、大きさは微小面積\(dS\)の値に等しく、向きは微小面積\(dS\)の法線の向きに等しい。

 ※磁気力線の密度\(\boldsymbol A\)と面積素\(d\boldsymbol S\)の内積をとる理由は、同じ微小面積\(dS\)でも面積素\(d\boldsymbol S\)の向きが磁気力線の密度\(\boldsymbol A\)の向きから傾けば傾くほど貫く磁気力線の量が減るからである。

ルール⑥

磁気力線の密度\(\boldsymbol A\)と線素\(d\boldsymbol l\)との内積を閉曲線\(C\)上で足し合わせたものは、閉曲線\(C\)が作る曲面を貫く電流\(I\)となるように磁気力線の密度\(\boldsymbol A\)は定義される。磁気力線の密度\(\boldsymbol A\)の単位はアンペア\(\text A\cdots\text m^{-1}\)である。

\begin{align*}\int_C\boldsymbol A\cdot d\boldsymbol l=I\tag{2}\end{align*}

 ※これはアンペールの法則である。

 ※線素\(d\boldsymbol l\)はベクトルであり、大きさは微小距離\(dl\)の値に等しく、向きは微小距離\(dl\)の接線の向きに等しい。

磁気力線と磁束

 磁気力線と似た単語で磁束というものがある。磁束については後ページで述べる。

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次ページから…

次ページでは、電流が作った源場である磁場\(\boldsymbol H\)から力場である磁束密度\(\boldsymbol B\)が生じて別の電流に力を与えると電磁気学では考えることを見る。また、磁場\(\boldsymbol D\)は曲面を貫く自由電流の総和\(I_f\)を用いて

\begin{align*}\int_C\boldsymbol H\cdot d\boldsymbol l=I_f\end{align*}

と定義され、磁束密度\(\boldsymbol B\)は速度\(\boldsymbol v\)の電荷量\(q\)の電荷に働く力\(\boldsymbol F\)を用いて

\begin{align*}\boldsymbol F=q\boldsymbol v×\boldsymbol B\end{align*}

と定義されることを見る。


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