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本ページでは、マクスウェル方程式を構成するマクスウェル-ガウスの式
または
を導く。また、マクスウェル-ガウスの式から電場\(\boldsymbol E\)の定義や分極\(\boldsymbol P\)の定義、そして、クーロンの法則(静電場)が導かれることを確認する。
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内容
マクスウェル-ガウスの式とは
または
をマクスウェル-ガウスの式という。この式は、電束の源は真電荷\(Q_\text f\)であり、真電荷の無いところでは電束が保存することを示している。
マクスウェル-ガウスの式の導出
マクスウェル-ガウスの式を導出する。
正の真電荷\(+q\)から量\(+q\)の電束が出て、負の真電荷\(-q\)へ量\(-q\)の電束が入り、電束は電荷のない所で途切れたり、別の電束と交わったりしないものと定義した(以前のページを参照)。向きが電束の向きであり、大きさが単位面積当たりの電束である「磁電束密度\(\boldsymbol D\)」と、 向きが微小面積\(dS\)の法線の向きであり、大きさが微小面積\(dS\)の値である「面積素\(d\boldsymbol S\)」を定義すると、電束密度\(\boldsymbol D\)と面積素\(d\boldsymbol S\)との内積を閉曲面\(S\)上で足し合わせたものは、電束の湧き出し量となり、その量は閉曲面内に存在する真電荷の総量\(Q_\text f\)となる。
この式がマクスウェル-ガウスの式の積分形であり、ここで、電束密度\(\boldsymbol D\)と面積素\(d\boldsymbol S\)の内積をとる理由は、面積素\(d\boldsymbol S\)の向きが電束密度\(\boldsymbol D\)の向きから傾けば傾くほど微小面積\(dS\)を貫く電束の量が減るからである。
微分形で表したマクスウェル-ガウスの式は次のように求めることができる。閉曲面\(S\)で囲われた体積を\(V\)としたとき、発散定理は
となる(以前のページを参照)ため、積分形で表したマクスウェル-ガウスの式(2)を代入すると
となる。ここで、単位体積あたりに存在する真電荷の量を示す電荷密度\(\rho\)を定義したとき、
が成り立つため次の式が成り立つ。
これが、微分形で表したマクスウェル-ガウスの式である。
マクスウェル-ガウスの式から導かれる式
電場と分極の定義
E-H対応において、構成方程式
と積分形のマクスウェル-ガウスの式(2)から次の式
が導かれる。閉曲面\(S\)内に存在する全電荷を\(Q\)としたとき、電気力線が\(Q/\epsilon_0\)だけ湧き出るため、式(7)の左辺の値は\(Q/\epsilon_0\)になり、右辺の値も\(Q/\epsilon_0\)になって、次の2式が成り立つ。
これが電場\(\boldsymbol E\)と分極\(\boldsymbol P\)の定義であった(以前のページまたは以前のページを参照)。ここで、分極\(\boldsymbol P\)の定義では分極電荷\(Q_\text{b}\)を用いているが、これは分極電荷\(Q_\text b\)と真電荷\(Q_\text f\)を足すと全電荷\(Q\)となるからである。
電場\(\boldsymbol E\)と分極\(\boldsymbol P\)の定義を微分形で表すと
となる。もちろん積分形と等価ではあるが、微分形では、電場\(\boldsymbol E\)や分極\(\boldsymbol P\)の発散\(\boldsymbol \nabla \cdot\)(または\(\text{div}\))はゼロにならず、湧き出しが存在することがシンプルにわかりやすい。
クーロンの法則(静電場)
以前のページで求めたが、マクスウェル-ガウスの式とローレンツ力の式から求めることができる。
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