マクスウェル-ガウスの式

HOME電磁気学マクスウェル方程式 マクスウェル-ガウスの式

【前ページ】           【次ページ】


スポンサーリンク

本ページでは…

  本ページでは、マクスウェル方程式を構成するマクスウェル-ガウスの式

\begin{align*}\boldsymbol \nabla\cdot\boldsymbol D&=\rho\ \ \ \ (\text{div}\boldsymbol D=\rho)\end{align*}

または

\begin{align*}\int_S \boldsymbol D\cdot d\boldsymbol S&=Q_\text f\end{align*}

を導く。また、マクスウェル-ガウスの式から電場\(\boldsymbol E\)の定義や分極\(\boldsymbol P\)の定義、そして、クーロンの法則(静電場)が導かれることを確認する。

スポンサーリンク

前ページでは…

スポンサーリンク

内容

マクスウェル-ガウスの式とは

\begin{align*}\boldsymbol \nabla\cdot\boldsymbol D&=\rho\ \ \ \ (\text{div}\boldsymbol D=\rho)\tag{1}\end{align*}

または

\begin{align*}\int_S \boldsymbol D\cdot d\boldsymbol S&=Q_\text f\tag{2}\end{align*}

マクスウェル-ガウスの式という。この式は、電束の源は真電荷\(Q_\text f\)であり、真電荷の無いところでは電束が保存することを示している。

マクスウェル-ガウスの式の導出

 マクスウェル-ガウスの式を導出する。

 正の真電荷\(+q\)から量\(+q\)の電束が出て、負の真電荷\(-q\)へ量\(-q\)の電束が入り、電束は電荷のない所で途切れたり、別の電束と交わったりしないものと定義した(以前のページを参照)。向きが電束の向きであり、大きさが単位面積当たりの電束である「磁電束密度\(\boldsymbol D\)」と、 向きが微小面積\(dS\)の法線の向きであり、大きさが微小面積\(dS\)の値である「面積素\(d\boldsymbol S\)」を定義すると、電束密度\(\boldsymbol D\)と面積素\(d\boldsymbol S\)との内積を閉曲面\(S\)上で足し合わせたものは、電束の湧き出し量となり、その量は閉曲面内に存在する真電荷の総量\(Q_\text f\)となる。

\begin{align*}\int_S\boldsymbol D\cdot d\boldsymbol S=Q_\text f\tag{2}\end{align*}

この式がマクスウェル-ガウスの式の積分形であり、ここで、電束密度\(\boldsymbol D\)と面積素\(d\boldsymbol S\)の内積をとる理由は、面積素\(d\boldsymbol S\)の向きが電束密度\(\boldsymbol D\)の向きから傾けば傾くほど微小面積\(dS\)を貫く電束の量が減るからである。

 微分形で表したマクスウェル-ガウスの式は次のように求めることができる。閉曲面\(S\)で囲われた体積を\(V\)としたとき、発散定理は

\begin{align*}\int_V \nabla\cdot \boldsymbol f\ dxdydz=\int_S \boldsymbol f\cdot d\boldsymbol S\tag{3}\end{align*}

となる(以前のページを参照)ため、積分形で表したマクスウェル-ガウスの式(2)を代入すると

\begin{align*}\int_V \nabla\cdot \boldsymbol D\ dxdydz=Q_\text f\tag{4}\end{align*}

となる。ここで、単位体積あたりに存在する真電荷の量を示す電荷密度\(\rho\)を定義したとき、

\begin{align*}Q_\text f=\int_V \rho\ dxdydz\tag{5}\end{align*}

が成り立つため次の式が成り立つ。

\begin{align*}\boldsymbol\nabla \cdot\boldsymbol D&=\rho\ \ \ \ (\text{div}\boldsymbol D=\rho)\tag{1}\end{align*}

これが、微分形で表したマクスウェル-ガウスの式である。

マクスウェル-ガウスの式から導かれる式

電場と分極の定義

 E-H対応において、構成方程式

\begin{align*}\boldsymbol E&=\frac{1}{\epsilon_0}(\boldsymbol D-\boldsymbol P)\tag{6}\end{align*}

と積分形のマクスウェル-ガウスの式(2)から次の式

\begin{align*}\int_S\boldsymbol E\cdot d\boldsymbol S=\frac{Q_\text f}{\epsilon_0}-\frac{1}{\epsilon_0}\int_S\boldsymbol P\cdot d\boldsymbol S\tag{7}\end{align*}

が導かれる。閉曲面\(S\)内に存在する全電荷を\(Q\)としたとき、電気力線が\(Q/\epsilon_0\)だけ湧き出るため、式(7)の左辺の値は\(Q/\epsilon_0\)になり、右辺の値も\(Q/\epsilon_0\)になって、次の2式が成り立つ。

\begin{align*}\int_S\boldsymbol E\cdot d\boldsymbol S&=\frac{Q}{\epsilon_0}\tag{8}\\-\int_S\boldsymbol P\cdot d\boldsymbol S&=Q_{\text{b}}\tag{9}\end{align*}

これが電場\(\boldsymbol E\)と分極\(\boldsymbol P\)の定義であった(以前のページまたは以前のページを参照)。ここで、分極\(\boldsymbol P\)の定義では分極電荷\(Q_\text{b}\)を用いているが、これは分極電荷\(Q_\text b\)と真電荷\(Q_\text f\)を足すと全電荷\(Q\)となるからである。

 電場\(\boldsymbol E\)と分極\(\boldsymbol P\)の定義を微分形で表すと

\begin{align*}\boldsymbol\nabla \cdot\boldsymbol E&=\frac{Q}{\epsilon_0}\ \ \ \ \left(\text{div}\boldsymbol E=\frac{Q}{\epsilon_0}\right)\tag{10}\\\boldsymbol\nabla \cdot\boldsymbol P&=-Q_{\text {b}}\ \ \ \ \left(\text{div}\boldsymbol P=-Q_{\text {b}}\right)\tag{11}\end{align*}

となる。もちろん積分形と等価ではあるが、微分形では、電場\(\boldsymbol E\)や分極\(\boldsymbol P\)の発散\(\boldsymbol \nabla \cdot\)(または\(\text{div}\))はゼロにならず、湧き出しが存在することがシンプルにわかりやすい。

クーロンの法則(静電場)

以前のページで求めたが、マクスウェル-ガウスの式とローレンツ力の式から求めることができる。

スポンサーリンク

次ページから…


【前ページ】          【次ページ】

HOME電磁気学 マクスウェル方程式 マクスウェル-ガウスの式

未分類
スポンサーリンク
Taido-Kick