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本ページでは、回転がベクトル場の各点のベクトル値を、向きが「点に球を置いて回転したときに、右手系となる回転軸の向き」で大きさが「回転の大きさ」であるベクトルに置き換える作用素であることをみる。また、3次元デカルト座標では回転\(\boldsymbol\nabla\)は
となることを求める。
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前ページでは、位置ベクトル\(\boldsymbol r\)の発散\(\boldsymbol\nabla \cdot\boldsymbol r\)が
となり、逆二乗場の発散\(\boldsymbol\nabla \cdot(\vert\boldsymbol r\vert^{-3}\boldsymbol r)\)が
となることをみた。また、ニュートンポテンシャルの勾配の発散が
となることもみた。
内容
回転
ベクトル場の各点におけるベクトル値を、向きが「点に球を置いて回転したときに、右手系となる回転軸の向き」で大きさが「回転の大きさ」である回転ベクトルに対応させる作用素(演算子)を回転といい、\(\boldsymbol\nabla×\)または\(\text{rot}\)で表す。この回転によって、ベクトル場は回転ベクトル場と呼ばれるベクトル場に変換され、ベクトル場を\(\boldsymbol f\)とすると回転ベクトル場は\(\boldsymbol \nabla ×\boldsymbol f\)と表される。つまり、常に回転はベクトル場に作用し、作用後はベクトル場となる。
3次元デカルト座標における回転
3次元デカルト座標における回転が
となること、言い換えると、ベクトル場が\(\boldsymbol f=(f_x,f_y,f_z)\)のときに回転ベクトル\(\boldsymbol\nabla ×\boldsymbol f\)
の向きが「点に球を置いて回転したときに、右手系となる回転軸の向き」で大きさが「回転の大きさ」であることを確認する。
初めに、\(z\)軸に垂直な正方形の面\(dx×dy\)が点\((x,y,z)\)を中心に配置されていると考える。正方形において、\(dx\)だけ移動するとき、\(\frac{\partial f_y}{\partial x}\)が正となるのなら、\(x\)の値が大きいほどベクトル場\(\boldsymbol f\)の\(y\)成分\(f_y\)は大きくなる。つまり、正方形の真ん中に球を置いたとき、球は\(z\)軸の正方向を右手系となる回転軸として回転するはずである。一方、\(dy\)だけ移動するとき、\(\frac{\partial f_x}{\partial y}\)が正となるのなら、\(y\)の値が大きいほどベクトル場\(\boldsymbol f\)の\(x\)成分\(f_x\)は大きくなる。つまり、正方形の真ん中に球を置いたとき、球は\(z\)軸の負方向を右手系となる回転軸として回転するはずである。以上より、\(z\)軸に垂直な正方形の面\(dx×dy\)において、点に球を置いて回転したときに、右手系となる回転軸の向きは\(z\)軸の正方向となり、その大きさは
となる。
\(z\)軸に垂直な正方形の面\(dx×dy\)と同様に、\(x\)軸に垂直な正方形の面\(dy×dz\)において、点に球を置いて回転したときに右手系となる回転軸の向きは\(x\)軸の正方向となり、その大きさは
となり、\(y\)軸に垂直な正方形の面\(dz×dx\)において、点に球を置いて回転したときに右手系となる回転軸の向きは\(y\)軸の正方向となり、その大きさは
となる。よって、全方向の成分を合わせると
なり、向きが「点に球を置いて回転したときに、右手系となる回転軸の向き」で大きさが「回転の大きさ」であるから、これが回転ベクトルである。
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となることをみる。
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