古典物理量の演算子

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本ページでは…

 本ページでは、古典物理量の演算子\(\hat F\)は対応する古典物理量\(f\)の座標\(\boldsymbol q\)と運動量\(\boldsymbol p\)を位置演算子\(\boldsymbol q\)と運動量演算子\(-i\hbar\boldsymbol\nabla\)に置き換えることによって得ることができることを確認する。また、その演算子\(\hat F\)を波動関数\(\varPsi\)に作用させて固有値方程式を求める。

\begin{align*}\hat F\varPsi=f\varPsi\end{align*}

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前ページでは、粒子性と波動性を持つ複素平面波の式

\begin{align*}\Psi&=ae^{i\left(\frac{\boldsymbol p\cdot\boldsymbol q}{\hbar}-\frac{E}{\hbar}t+\delta\right)}\\&=ae^{i\left(\frac{p_xx}{\hbar}+\frac{p_yy}{\hbar}+\frac{p_zz}{\hbar}-\frac{E}{\hbar}t+\delta\right)}\tag{1}\end{align*}

から、座標\(\boldsymbol q\)、運動量\(\boldsymbol p\)、エネルギー\(E\)、ハミルトニアン\(H\)に関する固有値方程式

\begin{align*}\hat {\boldsymbol q}\varPsi&=\boldsymbol q \varPsi\tag{2}\\-i\hbar\boldsymbol \nabla\varPsi&=\boldsymbol p\varPsi\tag{3}\\i\hbar\frac{\partial }{\partial t}\varPsi&=E\varPsi\tag{4}\\\hat{H}\varPsi&=H\varPsi\tag{5}\end{align*}

を求めた。

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内容

古典物理量の固有値方程式

 ハミルトン演算子\(\hat H\)は位置演算子\(\hat {\boldsymbol q}\)と運動量演算子\(\hat{ \boldsymbol p}\)から作ることができたが、同じように、古典物理量の演算子\(\hat F\)も対応する古典物理量\(f\)の座標\(\boldsymbol q\)と運動量\(\boldsymbol p\)を位置演算子\(q\)と運動量演算子\(-i\hbar \boldsymbol\nabla\)とに置き換えることによって得ることができる。そして、その演算子\(\hat F\)を波動関数\(\varPsi\)に作用させて作った固有値方程式

\begin{align*}\hat F\varPsi=f\varPsi\tag{6}\end{align*}

を解けば、古典物理量の値\(f\)が得られる。

例:角運動量演算子

 例えば古典物理量である角運動量\(\boldsymbol l\)は

\begin{align*}\boldsymbol l=\boldsymbol q×\boldsymbol p\tag{7}\end{align*}

であるから、それぞれの成分は

\begin{align*}l_x&=yp_z-zp_y\tag{8}\\l_y&=zp_x-xp_z\tag{9}\\l_z&=xp_y-yp_x\tag{10}\end{align*}

となり、座標\(q_i\)と運動量\(p_i\)を位置演算子\(q_i\)と運動量演算子\(-i\hbar\frac{\partial }{\partial q_i}\)に置き換えると角運動量演算子\(\hat l_i\)が得られる。

\begin{align*}\hat l_x&=-i\hbar \left(y\frac{\partial }{\partial z}-z\frac{\partial }{\partial y}\right)\tag{11}\\\hat l_y&=-i\hbar\left(z\frac{\partial }{\partial x}-x\frac{\partial }{\partial z}\right)\tag{12}\\\hat l_z&=-i\hbar\left(x\frac{\partial }{\partial y}-y\frac{\partial }{\partial x}\right)\tag{13}\end{align*}

そして、角運動量演算子\(\hat l_i\)を波動関数に作用させることによって、角運動量に関する固有値方程式

\begin{align*}\hat l_i\varPsi=l_i\varPsi\tag{14}\end{align*}

が得られ、この方程式を解くことによって角運動量\(l_i\)が得られる。

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次ページでは、粒子性と波動性をもつ光の複素平面波の式(7)を物質も満たすと仮定して、物質における運動量演算子とハミルトン演算子(またはハミルトニアン)を求める。


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