複素場の理論におけるネーターの定理(ハミルトン力学)

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本ページでは…

 本ページでは、ある保存量\(Q\)が存在するとき、物理量\(A\)が次の無限小変化量

\begin{align*}\delta_QA&=-\{Q,A\}\end{align*}

だけ変化する無限小変換で不変性が存在することを表すハミルトン力学における複素場の理論のネーターの定理を導く。また、量子力学において、無限小変化量は

\begin{align*}\delta_QA&=\frac{i}{\hbar}[\hat Q,\hat A]\end{align*}

と表されることも確認する。

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前ページでは、複素場の理論におけるネーターの定理を用いることにより位相変換不変性から全電荷保存則が導かれることを確認する。

内容

ハミルトン力学におけるネーターの定理

 ある連続的な無限小変換において不変性が存在するとき、ラグランジュ力学における複素場の理論のネーターの定理から、対応する保存量\(Q\)

\begin{align*}Q=\int d^3\boldsymbol x\ N^0\tag{1}\end{align*}

が導かれた。ここで、\(N^0\)は次のネーターカレント

\begin{align*}N^\mu=\delta_Q \varPhi\frac{\partial \mathscr L}{\partial (\partial _\mu \varPhi)}+\delta_Q \varPhi^*\frac{\partial \mathscr L}{\partial (\partial _\mu \varPhi^*)}-K^\mu\tag{2}\end{align*}

の時間成分である。

 実は、この逆の関係も成り立つ。ある保存量\(Q\)が存在するとき、ハミルトン力学における複素場の理論のネーターの定理から、物理量\(A\)が次の無限小変化量

\begin{align*}\delta_QA&=-\{Q,A\}\tag{3}\end{align*}

だけ変化する無限小変換で不変性が存在する。導出は場の理論におけるネーターの定理(ハミルトン力学)と同じであるため省略する。

量子力学におけるネーターの定理

 正準量子化を行なうと、次のようにポアソン括弧を交換関係に変形できることを以前のページで見た。

\begin{align*}\{A,B\}=\frac{1}{i\hbar}[\hat A,\hat B]\tag{4}\end{align*}

 ここで、無限小変化量の式(3)を正準量子化すると量子力学における無限小変化量の式

\begin{align*}\delta_QA&=-\{Q,A\}\\&=\frac{i}{\hbar}[\hat Q,\hat A]\tag{5}\end{align*}

が得られる。この式が表すことは、物理量\(Q\)が保存するとき、「保存量\(Q\)の演算子\(\hat Q\)」と「物理量\(A\)の演算子\(\hat A\)」との交換関係で表される無限小変化量\(\delta_QA\)だけ変化する無限小変換でも物理法則は変わらない、つまり、不変性が存在するということである。

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次ページでは、ハミルトン力学における複素場の理論のネーターの定理を用いることにより、全エネルギー運動量保存則から時空並進不変性が導かれることを確認し、エネルギー運動量\(\hat{ P}^\nu\)は時空並進の生成子であることを確認する。


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