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ポアソン括弧

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本ページでは…

 本ページでは、一般化座標\(q_i\)と一般化運動量\(p_i\)そして時間\(t\)の関数である物理量を時間微分すると、ポアソン括弧\(\{\}\)と呼ばれる対称性の高い構造が現れることを見てみる。

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前ページでは、ラグランジアン\(L\)とハミルトニアン\(H\)の関係を、ルジャンドル変換を含む二通りの方法から求め、ハミルトンの正準方程式

\begin{align}\dot{p_i}=-\frac{\partial H}{\partial q_i}\tag{1}\end{align}

\begin{align}\dot{q_i}=\frac{\partial H}{\partial p_i}\tag{2}\end{align}

を求めた。また、保存力を受けているハミルトニアン\(H\)のは全エネルギーの総和になることを確認した。

\begin{align}H=T+V\tag{3}\end{align}

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内容

ポアソン括弧の定義

 ある物理量\(A\)と\(B\)が、一般化座標\(q_i\)と一般化運動量\(p_i\)そして時間\(t\)の関数になっているとする。

\begin{align}&A(q,p,t)\tag{4}\\&B(q,p,t)\tag{5}\end{align}

 一般化座標\(q_i\)や一般化運動量\(p_i\)も時間\(t\)の関数になっていること考慮して、物理量\(A\)を時間\(t\)で微分すると

\begin{align}\frac{\text{d}A}{\text{d}t}&=\frac{\partial A}{\partial t}+\sum_{i=1}^n\left(\frac{\partial A}{\partial q_i}\frac{\text{d} q_i}{\text{d}t}+\frac{\partial A}{\partial p_i}\frac{\text{d} p_i}{\text{d}t}\right)\\&=\frac{\partial A}{\partial t}+\sum_{i=1}^n\left(\frac{\partial A}{\partial q_i}\dot{q_i}+\frac{\partial A}{\partial p_i}\dot{p_i}\right)\tag{6}\end{align}

となる。ここに、ハミルトンの正準方程式

\begin{align}\dot{p_i}&=-\frac{\partial H}{\partial q_i}\tag{1}\\\dot{q_i}&=\frac{\partial H}{\partial p_i}\tag{2}\end{align}

を代入すると

\begin{align}\frac{\text{d}A}{\text{d}t}=\frac{\partial A}{\partial t}+\sum_{i=1}^n\left(\frac{\partial A}{\partial q_i}\frac{\partial H}{\partial p_i}-\frac{\partial A}{\partial p_i}\frac{\partial H}{\partial q_i}\right)\tag{7}\end{align}

となる。ここでかなり対称な部分が現れるが、次のような定義のポアソン括弧を導入しよう。

\begin{align}\left\{A,B\right\}=\sum_{i=1}^n\left(\frac{\partial A}{\partial q_i}\frac{\partial B}{\partial p_i}-\frac{\partial A}{\partial p_i}\frac{\partial B}{\partial q_i}\right)\tag{8}\end{align}

 ポアソン括弧を用いて物理量\(A\)の時間微分を表すと

\begin{align}\frac{\text{d}A}{\text{d}t}=\frac{\partial A}{\partial t}+\left\{A,H\right\}\tag{9}\end{align}

となり、物理量\(A\)が陽(直接的)に時間\(t\)に依存しない時、ポアソン括弧に等しくなる。

\begin{align}\frac{\text{d}A}{\text{d}t}=\left\{A,H\right\}\tag{10}\end{align}

ポアソン括弧を用いた正準方程式

 式(10)の物理量\(A\)として、一般化座標\(q_j\)や一般化運動量\(p_j\)のときを考えると

\begin{align}\dot{q_j}&=\left\{q_j,H\right\}\tag{11}\\\dot{p_j}&=\left\{p_j,H\right\}\tag{12}\end{align}

となり、ハミルトンの正準方程式そのものになる。

代表的な関係式

 ポアソン括弧でよく使う関係は次の三つである。

\begin{align}\left\{q_j,p_k\right\}=\sum_{i=1}^n\left(\frac{\partial q_j}{\partial q_i}\frac{\partial p_k}{\partial p_i}-\frac{\partial q_j}{\partial p_i}\frac{\partial p_k}{\partial q_i}\right)=\frac{\partial q_j}{\partial q_i}\frac{\partial p_k}{\partial p_i}=\delta_{jk}\tag{13}\end{align}

\begin{align}\left\{q_j,q_k\right\}=\sum_{i=1}^n\left(\frac{\partial q_j}{\partial q_i}\frac{\partial q_k}{\partial p_i}-\frac{\partial q_j}{\partial p_i}\frac{\partial q_k}{\partial q_i}\right)=0\tag{14}\end{align}

\begin{align}\left\{p_j,p_k\right\}=\sum_{i=1}^n\left(\frac{\partial p_j}{\partial q_i}\frac{\partial p_k}{\partial p_i}-\frac{\partial p_j}{\partial p_i}\frac{\partial p_k}{\partial q_i}\right)=0\tag{15}\end{align}

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次ページから⋯

次ページでは、正準変数の定義を確認し、正準変数になるための条件式を求める。また、ある正準変数から別の正準変数への変換である正準変数について調べる。


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