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超対称パートナー

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本ページでは…

 本ページでは、2つのハミルトニアンがあった時、それぞれのハミルトニアンが繋絡関係式を満たすとき、2つのハミルトニアンが同じエネルギースペクトルを持つことを見る。

 2つのハミルトニアンが同じエネルギースペクトルをもつことは、超対称性の特徴であり、このときの2つのハミルトニアンは超対称パートナーと呼ばれる。

 本来、超対称性とはボース粒子とフェルミ粒子との間の対称性であり、相対論的である場の量子論に適応されて、超対称場の量子論と呼ばれる。しかし、この超対称場の量子論はかなり煩雑であり、理解しやすいように簡略化したモデルが非相対論である超対称量子力学である。

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内容

 2つのハミルトニアン\(\hat H_{\scriptsize +}\),\(\hat H_{\scriptsize -}\)の固有値方程式

\begin{align*}\hat H_{\scriptsize +}\psi_{\scriptsize {E,+}}&=E\psi_{\scriptsize {E,+}}\tag{1}\\\hat H_{\scriptsize -}\psi_{\scriptsize {\tilde E,-}}&=\tilde E\psi_{\scriptsize {\tilde E,-}}\tag{2}\end{align*}

を用意する。それぞれのハミルトニアンの固有値方程式にもう一方のエネルギーが現れる、つまり、ハミルトニアン\(\hat H_{\scriptsize +}\)の固有値方程式に\(\tilde E\)が現れ、ハミルトニアン\(\hat H_{\scriptsize -}\)の固有値方程式に\(E\)が現れるときを考える。

\begin{align*}\hat H_{\scriptsize +}\psi’_{\scriptsize {\tilde E,+}}&=\tilde E\psi’_{\scriptsize {\tilde E,+}}\tag{3}\\\hat H_{\scriptsize -}\psi’_{\scriptsize {E,-}}&=E\psi’_{\scriptsize {E,-}}\tag{4}\end{align*}

このとき、波動関数\(\psi’_{\scriptsize {\tilde E,+}}\)と\(\psi’_{\scriptsize {E,-}}\)は次の繋絡関係式と呼ばれる関係(以下の二式はエルミート共役である)

\begin{align*}\hat A\hat H_{\scriptsize +}&=\hat H_{\scriptsize -}\hat A\tag{5}\\\hat A^\dagger\hat H_{\scriptsize -}&=\hat H_{\scriptsize +}\hat A^\dagger\tag{6}\end{align*}

を満たす繋絡演算子\(\hat A\)を用いて、次のように表せる。

\begin{align*}\psi’_{\scriptsize {\tilde E,+}}&=\hat A^\dagger\psi_{\scriptsize {\tilde E,-}}\tag{7}\\\psi’_{\scriptsize {E,-}}&=\hat A\psi_{\scriptsize {E,+}}\tag{8}\end{align*}

このことは、式(2),(1)両辺の左から繋絡演算子を作用させると確かめることができる。

\begin{align*}\hat H_{\scriptsize +}\left(\hat A^\dagger\psi_{\scriptsize {\tilde E,-}}\right)&=\tilde E\left(\hat A^\dagger\psi_{\scriptsize {\tilde E,-}}\right)\tag{9}\\\hat H_{\scriptsize -}\left(\hat A\psi_{\scriptsize {E,+}}\right)&=E\left(\hat A\psi_{\scriptsize {E,+}}\right)\tag{10}\end{align*}

 このことより、\(\psi_{\scriptsize {\tilde E,-}}\)が\(\hat H_{\scriptsize {-}}\)の固有値\(\tilde E\)に属する固有関数ならば、繋絡演算子を作用させた\(A^\dagger\psi_{\scriptsize {\tilde E,-}}\)は\(\hat H_{\scriptsize {+}}\)の固有値\(\tilde E\)に属する固有関数である。また、\(\psi_{\scriptsize {E,+}}\)が\(\hat H_{\scriptsize {+}}\)の固有値\(E\)に属する固有関数ならば、繋絡演算子を作用させた\(A\psi_{\scriptsize {E,+}}\)は\(\hat H_{\scriptsize {-}}\)の固有値\(E\)に属する固有関数であることが分かる。

これらのことは、とあるエネルギー準位だけで成り立つのではなく、任意のエネルギー準位\(E\)で成り立つ。そのため、繋絡関係式を満たすハミルトニアン\(\hat H_{\scriptsize +}\)と\(\hat H_{\scriptsize -}\)は同じエネルギースペクトルをもつ。この2つのハミルトニアンは超対称パートナーと呼ばれる。

(ただし、繋絡演算子を作用させた波動関数\(\hat A\psi_{\scriptsize{E^{”}}}\)がゼロになるときは、もう一方の固有値方程式も成り立つとはいえないため、この時はエネルギースペクトルは異なる。ただし、繋絡演算子を作用させるとゼロになる状況は基底状態でしかおきず、エネルギースペクトルが異なると言っても、基底状態がどちらもあるかないかの違いである。)

 次の超ハミルトニアンと呼ばれる行列

\begin{align*}\hat{\boldsymbol H}=\left(\begin{array}{c}\hat H_{\scriptsize +}&0\\0&\hat H_{\scriptsize -}\end{array}\right)\tag{11}\end{align*}

と、エネルギーを行列で表した

\begin{align*}{\boldsymbol E}=\left(\begin{array}{c}E&0\\0&\tilde E\end{array}\right)\tag{12}\end{align*}

、そして、2つの波動関数を行列で表した

\begin{align*}\boldsymbol \psi=\left(\begin{array}{c}\boldsymbol \psi_{\scriptsize +}\\\boldsymbol \psi_{\scriptsize -}\end{array}\right)\tag{13}\end{align*}

を用いると、式(1),(2)は

\begin{align*}\hat {\boldsymbol{H}}\boldsymbol{\psi}=\boldsymbol{E}\boldsymbol{\psi}\tag{14}\end{align*}

と表せる。また、超ハミルトニアン\(\hat{\boldsymbol H}\)と、繋絡演算子を成分にもつ超電荷と呼ばれる行列

\begin{align*}\hat{\boldsymbol Q}=\left(\begin{array}{c}0&\hat A^\dagger\\\hat A&0\end{array}\right)\tag{15}\end{align*}

を用いると、繋絡関係式(5),(6)は

\begin{align*}[\hat{\boldsymbol H},\ \hat{\boldsymbol Q}]=0\tag{16}\end{align*}

と表せる。


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