本ページでは…
本ページでは、真磁荷は自由に移動したり外部に取り出したりできる磁荷であるが、磁化で生じた分極磁荷は自由に移動したり外部に取り出したりできない磁荷であることを確認する。
前ページまで…
前ページでは、磁気現象を「磁荷によって説明するE-H対応」と「電流によって説明するE-B対応」について説明した。
内容
磁荷
E-H対応において、磁気現象を引き起こす源を磁荷と呼び、その量を磁荷量と呼ぶ。磁荷量は正または負の値を取り、磁荷量が正である磁荷を正磁荷(またはN極)といい、磁荷量が負である磁荷を負磁荷(またはS極)という。
磁荷の単位はウェーバ\(\text {Wb}\)で表される。
磁荷は真磁荷と分極磁荷に分けることができ、この分類はとても重要になってくるため、それぞれについて次から述べていく。
真磁荷
真磁荷(あるいは自由磁荷)とは、自由に移動したり外部に取り出したりできる磁荷である。現実には、全ての磁荷は単一の磁荷であるモノポール(磁気単極子)として存在するのではなく、大きさの等しい正負の磁荷がペアとなったダイポール(磁気双極子)として存在するため、真磁荷を取り出そうとしても、ダイポールとして取り出される。しかし、磁気双極子の片方の極のみに注目をすれば、単一の真磁荷と捉えることができる。
分極磁荷
磁性体に真磁荷が近づいたとき、磁性体を構成する無数の磁気双極子が整列する現象を磁化という。磁化した磁気双極子の磁荷は隣の磁気双極子の磁荷によって互いに打ち消し合うが、磁性体の表面では打ち消し合える隣の磁気双極子が存在しないため磁性体表面に正・負磁荷が現れる。この正・負磁荷が分極磁荷であり、自由に移動したり外部に取り出したりできない磁荷である。
次ページから…
次ページでは、真磁荷から磁束が生じ、次のガウスの法則を満たす磁束密度\(\boldsymbol B\)が磁束から生じると定義する。