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ラゲール多項式の母関数表示

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 本ページでは、ラゲール多項式\(L_{n}( x )\)の母関数表示

\begin{align*}EG(L_{n}( x );t)&=\frac{1}{1-t}e^{-\frac{xt}{1-t}}\end{align*}

と、ラゲール多項式を生成するロドリゲスの公式

\begin{align*}L_{n}(x)=e^{x}\frac{\text{d}^{n}}{\text{d}x^{n}}(x^{n}e^{-x})\end{align*}

を求める。

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 前ページでは、ラゲールの微分方程式

\begin{align*}x\frac{d^{2}}{dx^{2}}L_{n}(x)+(1-x)\frac{{d}}{{d}x}L_{n}(x)+ nL_{n}( x)=0\tag{1}\end{align*}

において、\(n\)\(0\)以上の整数\(\{l\in\mathbb{Z}\mid l≧0\}\)のときの解であるラゲール多項式

\begin{align*}L_{n}( x )=\sum ^{n }_{k=0}\frac{(-1)^{k}(n!)^{2}}{(k!)^{2}(n-k)!}x^{k}\tag{2}\end{align*}

をフロベニウス法で求めた。

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内容

母関数とは

 母関数とは「数列の情報をすべて含んだ関数」のことであり、母関数が分かれば数列の一般項を求めることができる。逆もまた然り、数列の一般項から母関数を求めることができる。つまり、数列と母関数は一対一の関係となっている。

 前回求めたラゲール多項式\(L_{n}( x )\)は、\(0\)以上の整数\(l\)を代入すると\(x\)に関する関数を返す数列であり、ラゲール多項式を母関数で表したものを用いるとラゲール多項式の直交性を簡単に調べることができる。

 代表的な母関数の定義として通常型母関数\(G(a_{n};t)\)

\begin{align*}G(a_{n};t)=\sum ^{\infty}_{l=0}a_{n}t^{n}\tag{3}\end{align*}

指数型母関数\(EG(a_{n};t)\)

\begin{align*}EG(a_{n};t)=\sum ^{\infty}_{n=0}a_{n}\frac{t^{n}}{n!}\tag{4}\end{align*}

がある。

母関数の導出

 今回、ラゲール多項式(2)の指数型母関数\(EG(a_{n};t)\)を求める。定義式(4)に、ラゲール多項式(2)を代入すると

\begin{align*}EG(L_{n}( x );t)&=\sum ^{\infty}_{n=0}L_{n}( x )\frac{t^{n}}{n!}\\&=\sum ^{\infty}_{n=0}\sum ^{n}_{k=0}\frac{(-1)^{k}n!}{(k!)^{2}(n-k)!}x^{k}t^{n}\tag{5}\end{align*}

となる。式(5)の二重和の変数は\(n\)\(k\)であるが、変数を\(k\)\(n-k\)に変換する。そのため、わかりやすくするために和記号内を\(a(n,\ k,\ n-k)\)で表記すると

\begin{align*}EG(L_{n}( x );t)&=\sum ^{\infty}_{n=0}\sum ^{n}_{k=0}a(n,\ k,\ n-k)\\&=a(0,\ 0,\ 0)\\&\ \ \ \ +a(1,\ 0,\ 1)+a(1,\ 1,\ 0)\\&\ \ \ \ +a(2,\ 0,\ 2)+a(2,\ 1,\ 1)+a(2,\ 2,\ 0)\\&\ \ \ \ +a(3,\ 0,\ 3)+a(3,\ 1,\ 2)+a(3,\ 2,\ 1)+a(3,\ 3,\ 0)\\&\ \ \ \ \cdots\\&\ \ \ \ +a(\infty,\ 0,\ \infty)+a(\infty,\ 1,\ \infty-1)+a(\infty,\ 2,\ \infty-1)+\cdots+a(\infty,\ \infty-1,\ 1)+a(\infty,\ \infty,\ 0)\tag{6}\end{align*}

と展開できる。和記号内の\(a\)を変数\(n\)\(k\)で表すと二重和は\(\sum ^{\infty}_{n=0}\sum ^{n}_{k=0}\)であったが、上式(6)をみると変数\(k\)\(n-k\)で表すには二重和を\(\sum ^{\infty}_{n-k=0}\sum ^{\infty}_{k=0}\)にすればよいことがわかる。\(n-k\)を新たな変数\(j\)として式(5)を変数\(j\)\(k\)で表すと

\begin{align*}EG(L_{n}( x );t)=\sum ^{\infty}_{j=0}\sum ^{\infty}_{k=0}\frac{(-1)^{k}(k+j)!}{(k!)^{2}j!}x^{k}t^{k+j}\tag{7}\end{align*}

と変換できる。

 次に、負のべき指数をもつ\((1-t)^{-s}\)のマクローリン展開

\begin{align*}(1-t)^{-s}=\sum ^{\infty }_{j=0}\frac{(s+j-1)!}{j!(s-1)!}t^{j}\tag{8}\end{align*}

\(s=k+1\)を代入した

\begin{align*}(1-t)^{-k-1}=\sum ^{\infty }_{j=0}\frac{(k+j)!}{k!j!}t^{j}\tag{9}\end{align*}

を用いると、母関数(7)は

\begin{align*}EG(L_{n}( x );t)&=\sum ^{\infty}_{j=0}\sum ^{\infty}_{k=0}\frac{(-1)^{k}(k+j)!}{(k!)^{2}j!}x^{k}t^{k+j}\\&=\sum ^{\infty}_{k=0}\frac{(-1)^{k}}{k!}(1-t)^{-k-1}x^{k}t^{k}\\&=\frac{1}{1-t}\sum ^{\infty}_{k=0}\frac{1}{k!}\left(-\frac{xt}{1-t}\right)^{k}\\&=\frac{1}{1-t}e^{-\frac{xt}{1-t}}\tag{10}\end{align*}

と求めることができる。最後の変換では

\begin{align*}e^{ax}=\sum ^{\infty}_{k=0}\frac{1}{k!}(ax)^{k}\tag{11}\end{align*}

を用いた。

ロドリゲスの公式とは

 ラゲール多項式(2)の母関数表示(10)を求めたが、ついでに母関数から導けるロドリゲスの公式

\begin{align*}L_{n}(x)=e^{x}\frac{\text{d}^{n}}{\text{d}x^{n}}(x^{n}e^{-x})\tag{12}\end{align*}

も求める。

 ロドリゲスの公式とはラゲール多項式を生成できる公式であり、他にもエルミート多項式やルジャンドル多項式を生成するロドリゲスの公式もある。

ロドリゲスの公式の導出

 ロドリゲスの公式は母関数表示(3)から求めることができる。ここで、指数型母関数(5)\(EG(a_{n};t)\)

\begin{align*}EG(a_{n};t)=\sum ^{\infty}_{n=0}a_{n}\frac{t^{n}}{n!}\tag{5}\end{align*}

\(n\)階微分して\(t=0\)を代入すると数列\(a_{n}\)が導けるため、ラゲール多項式\(L_{n}( x )\)を求めるには、指数型母関数(10)\(EG(L_{n};t)\)を\(n\)階微分して\(t=0\)を代入すると\(L_{n}( x )\)が導ける。実際に導いてみると

\begin{align*}L_{n}(x)&=\left. \frac{\text{d}^{n}}{\text{d}t^{n}}\left[(EG(L_{n}( x );t)\right]\right|_{t=0}\\&=\left. \frac{\text{d}^{n}}{\text{d}t^{n}}\left[\sum ^{\infty }_{n=0}L_{n}( x )\frac{t^{n}}{n!}\right]\right|_{t=0}\\&=\left. \frac{\text{d}^{n}}{\text{d}t^{n}}\left[\frac{1}{1-t}e^{-\frac{xt}{1-t}}\right]\right|_{t=0}\\&=e^{x}\left. \frac{\text{d}^{n}}{\text{d}t^{n}}\left[\frac{1}{1-t}e^{-\frac{x}{1-t}}\right]\right|_{t=0}\tag{13}\end{align*}

と変形できる。最後の変換では微分の外には\(e^{x}\)、微分の中には\(e^{-x}\)を掛けた。ここで、式(11)を参考に導いた

\begin{align*}e^{-\frac{x}{1-t}}=\sum ^{\infty }_{k=0}\frac{(-1)^{k}x^{k}}{(1-t)^{k}k!}\tag{14}\end{align*}

を代入すると、

\begin{align*}L_{n}(x)&=e^{x}\left. \frac{\text{d}^{n}}{\text{d}t^{n}}\left[\sum ^{\infty }_{k=0}\frac{(-1)^{k}x^{k}}{(1-t)^{k+1}k!}\right]\right|_{t=0}\\&=e^{x}\left. \left[\sum ^{\infty }_{k=0}\frac{(-1)^{k}x^{k}}{(1-t)^{k+n+1}k!}\frac{(k+n)!}{k!}\right]\right|_{t=0}\\&=e^{x}\sum ^{\infty }_{k=0}\frac{(-1)^{k}x^{k}(k+n)!}{(k!)^{2}}\tag{15}\end{align*}

となり、2行目への変形では\(t\)での微分を行ない、3行目への変形では\(t=0\)を代入した。ここで、\(x^{n+k}\)の微分式

\begin{align*}\frac{\text{d}^{n}}{\text{d}x^{n}}x^{n+k}=\frac{(k+n)!}{k!}x^{k}\tag{16}\end{align*}

を代入すると

\begin{align*}L_{n}(x)&=e^{x}\sum ^{\infty }_{k=0}\frac{(-1)^{k}}{k!}\frac{\text{d}^{n}}{\text{d}x^{n}}x^{n+k}\tag{17}\end{align*}

となって、\(e^{-x}\)のべき級数展開

\begin{align*}e^{-x}=\sum ^{\infty }_{k=0}\frac{\left(-1\right)^{k}x^{k}}{k!}\tag{18}\end{align*}

を式(17)に代入するとロドリゲスの公式(12)が得られる。

\begin{align*}L_{n}(x)=e^{x}\frac{\text{d}^{n}}{\text{d}x^{n}}(x^{n}e^{-x})\tag{12}\end{align*}

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 次ページでは、ラゲールの陪微分方程式の解であるラゲール陪多項式を求める。


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