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ニュートンの運動方程式の変形

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本ページでは…

 本ページでは、保存力を受けている粒子のニュートンの運動方程式

\begin{align}m_{\scriptsize i}\ddot{x}_{\scriptsize i}=-\frac{\partial V}{\partial x_{\scriptsize i}}\end{align}

を変形して、ラグランジュの運動方程式に近い形

\begin{align}\frac{\text{d}}{\text{d}t}\frac{\partial T}{\partial \dot{x}_{\scriptsize i}}+\frac{\partial V}{\partial x_{\scriptsize i}}=0\end{align}

に変形していく。

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内容

ニュートン力学の復習

 ここでは、保存力を受けている粒子の運動を考える。はじめに、ニュートン力学でよく用いる、ニュートンの運動方程式(1)、ポテンシャルエネルギー\(V\)および運動エネルギー\(T\)の定義式(2),(3)を用意した。ここではドットは時間微分を表す。

\begin{align}\boldsymbol{F}=m\boldsymbol{a}=m\boldsymbol{\ddot{x}}\tag{1}\end{align}

\begin{align}\boldsymbol{F}=-\boldsymbol{\nabla}V\tag{2}\end{align}

\begin{align}T=\frac{1}{2}m\boldsymbol{v}^2=\frac{1}{2}m\boldsymbol{\dot{x}}^2\tag{3}\end{align}

これらの式はベクトルで表されているため、デカルト座標成分\((i=1,2,3)\)ごとにスカラーで表すと

\begin{align}F_i=ma_i=m\ddot{x}_{\scriptsize i}\tag{4}\end{align}

\begin{align}F_{\scriptsize i}=-\frac{\partial V}{\partial x_{\scriptsize i}}\tag{5}\end{align}

\begin{align}T=\frac{1}{2}m\sum_{i=1}^3\dot{x}_{\scriptsize i}^2\tag{6}\end{align}

となる。上式は一つの粒子の運動についての式だが、複数の粒子の運動をまとめ表すと

\begin{align}F_{\scriptsize i}=m_{\scriptsize i}a_{\scriptsize i}=m_{\scriptsize i}\ddot{x}_{\scriptsize i}\tag{7}\end{align}

\begin{align}F_{\scriptsize i}=-\frac{\partial V}{\partial x_{\scriptsize i}}\tag{8}\end{align}

\begin{align}T=\frac{1}{2}\sum_{i=1}^nm_{\scriptsize i}\dot{x}_{\scriptsize i}^2\tag{9}\end{align}

となる(同粒子なら、デカルト座標成分\(i\)が異なっても粒子の質量\(m_{\scriptsize i}\)は同じ値である)。

 ここで1点、デカルト座標成分\(i\)ごとにスカラーで表しても、元々のニュートンの運動方程式はベクトルで表されていたため、座標系を変換するとこれらの式はかなり複雑に変わってしまうことに注意する。

運動方程式の変形

 ラグランジュ力学の準備としてニュートンの運動方程式(7)を変形しよう。式(7)と式(8)から

\begin{align}m_{\scriptsize i}\ddot{x}_{\scriptsize i}=-\frac{\partial V}{\partial x_{\scriptsize i}}\tag{10}\end{align}

となり、保存力を受けている粒子の運動方程式となる。この運動方程式はデカルト座標\(x_{\scriptsize i}\)と加速度\(\ddot{x}_{\scriptsize i}\)から成り立っている。次に式(9)を速度\(\dot{x}_{\scriptsize i}\)で偏微分した

\begin{align}\frac{\partial T}{\partial \dot{x}_{\scriptsize i}}=m_{\scriptsize i}\dot{x}_{\scriptsize i}\tag{11}\end{align}

を用いると、式(10)は

\begin{align}\frac{\text{d}}{\text{d}t}\frac{\partial T}{\partial \dot{x}_{\scriptsize i}}+\frac{\partial V}{\partial x_{\scriptsize i}}=0\tag{12}\end{align}

となって、今度ははデカルト座標\(x_{\scriptsize i}\)と速度\(\dot{x}_{\scriptsize i}\)から保存力を受けている粒子の運動方程式(12)が成り立っていることがわかる。

 式(12)はラグランジュの運動方程式に似ているが、デカルト座標系に制限されている点が異なっている。ここで、スカラーであるポテンシャルエネルギー\(V\)や運動エネルギー\(T\)が表れていることから、座標変換時にそれほど運動方程式は複雑にはならなそうと予想できる。

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次ページから⋯

次ページでは、ラグランジアン\(L\)が時間\(t\)と一般化座標\(q_{\scriptsize i}\)、一般化速度\(\dot{q_{\scriptsize i}}\)から成り立つと仮定し、ラグランジアンの時間積分である作用積分\(S\)に作用原理を施すことによってラグランジュの運動方程式を求める。また、保存力を受けている粒子のラグランジアン\(L\)の具体的な形を求める。


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