スカラー場の質量次元

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 本ページでは、自然単位系においてスカラー場\(\phi\)と微分演算子\(\partial_\mu\)の質量次元は\(1\)であることを確認する。

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前ページでは、場の理論におけるクライン-ゴルドン方程式

\begin{align}\left(\partial_\mu\partial^\mu+m^2\right)\phi=0\end{align}

を導出する作用積分\(S\)

\begin{align}S&=\int dx^4\ \left(\frac{1}{2}\partial_\mu\phi\partial^\mu\phi-\frac{m^2}{2}\phi^2\right)\end{align}

を求め、作用積分\(S\)が相対論的不変性と\(Z_2\)不変性を持つことを確かめた。

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内容

スカラー場の次元解析

 自然単位系(以前のページを参照)におけるスカラー場\(\phi\)の質量次元を求める。ここでは、物理量の質量次元\(n\)を角括弧を用いて[物理量]と表す。

\begin{align*}[物理量]=[質量^n]=n\tag{1}\end{align*}

 まず、古典力学での作用積分\(S\)

\begin{align*}S=\int dt\ \left(\frac{m\dot x^2}{2}-V\right)\tag{2}\end{align*}

を例にすると、自然単位系において作用積分\(S\)の質量次元は\(0\)

\begin{align*}[S]&=\left[\int dt\ \frac{m\dot x^2}{2}\right]\\&=\left[時間×質量×\frac{長さ^2}{時間^2}\right]\\&=\left[\frac{質量×長さ^2}{時間}\right]\\&=[角運動量]\\&=0\tag{3}\end{align*}

であることが分かる。どのような作用積分\(S\)でも次元は変わらないため、場の理論での作用積分\(S\)における質量次元も\(0\)である。

 次にラグランジアン密度\(\mathscr L\)の質量次元を求める。場の理論での作用積分\(S\)はラグランジアン密度\(\mathscr L\)を用いて

\begin{align*}S=\int dx^4\ \mathscr L\tag{4}\end{align*}

と表されるから、それぞれの質量次元は

\begin{align*}[S]&=\left[\int dx^4\ \mathscr L\right]\\&=[長さ^4×\mathscr L]\\&=[1/質量^4×\mathscr L]\\&=0\tag{5}\end{align*}

となって、ラグランジアン密度\(\mathscr L\)の質量次元は\(4\)となる。

\begin{align*}[\mathscr L]&=[質量^4]\\&=4\tag{6}\end{align*}

 最後に、スカラー場\(\phi\)と微分演算子\(\partial_\mu\)の質量次元を求める。相互作用を受けるスカラー場におけるラグランジアン密度は

\begin{align}\mathscr L&=\frac{1}{2}\partial_\mu\phi\partial^\mu\phi-\frac{m^2}{2}\phi^2-\frac{\lambda}{4!}\phi^4\tag{7}\end{align}

であるから、第2項より

\begin{align*}[\mathscr L]&=\left[\frac{m^2}{2}\phi^2\right]\\&=[質量^2×\phi^2]\\&=4\tag{8}\end{align*}

が成り立ち、スカラー場\(\phi\)の質量次元は\(1\)

\begin{align*}[\phi]&=[質量]\\&=1\tag{9}\end{align*}

であることが分かり、第1項より

\begin{align*}[\mathscr L]&=\left[\frac{1}{2}\partial_\mu\phi\partial^\mu\phi\right]\\&=[質量^2×\partial_\mu\partial^\mu]\\&=4\tag{10}\end{align*}

が成り立ち、微分演算子\(\partial_\mu\)と\(\partial^\mu\)の質量次元も\(1\)

\begin{align*}[\partial_\mu]&=[\partial^\mu]\\&=[質量]=\\&1\tag{11}\end{align*}

であることが分かる。また、式(7)の第3項より結合定数\(\lambda\)の質量次元は\(0\)であることも分かる。

\begin{align*}[\lambda]=0\tag{12}\end{align*}


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