第2量子化

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本ページでは…

 本ページでは、場が従うクライン-ゴルドン方程式

\begin{align}\left(\partial_\mu\partial^\mu+m^2\right)\phi=0\end{align}

を導くハミルトニアン\(H\)において、構成する場\(\phi\)と場に対する正準共役運動量\(\pi=\partial ^0\phi\)を次の同時刻正準交換関係

\begin{align} [\hat\phi(t,\boldsymbol x),\ \hat\pi(t,\boldsymbol y)]&=i\delta(\boldsymbol x-\boldsymbol y)\end{align}

を満たす演算子に置き換える量子化である第2量子化について調べる。

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前ページまで…

前ページでは、素粒子論では粒子数の変化が起こり、1粒子が従う波動関数\(\phi\)から構成されているクライン-ゴルドン方程式

\begin{align}\left(\partial_\mu\partial^\mu+m^2\right)\phi=0\end{align}

では粒子数の変化を表現できないことを見た。また、この問題は\(\phi\)を場として解釈する場の量子論によって解決する可能性があることを見た。

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内容

スカラー場とは

 場とは時空の各点に物理量を対応させたものであり、スカラーを対応させたスカラー場、スピノルを対応させたスピノル場、ベクトルを対応させたベクトル場が存在する。

 今回、クライン-ゴルドン方程式

\begin{align}\left(\partial_\mu\partial^\mu+m^2\right)\phi=0\tag{1}\end{align}

を満たす場\(\phi\)について考えるが、\(\phi\)が波動関数のときはスカラーであったため、場として解釈する場合はスカラー場が妥当である。

第2量子化

以前のページでクライン-ゴルドン方程式

\begin{align}\left(\partial_\mu\partial^\mu+m^2\right)\phi=0\tag{1}\end{align}

を導いた際に、古典論的なハミルトニアン\(H\)

\begin{align*}H^2=m^2+\boldsymbol p^2\tag{2}\end{align*}

の位置\(q_i\)と運動量\(p_i\)を次の正準交換関係

\begin{align} [\hat{q_i},\ \hat{p_j}]&=i\delta_{ij}\tag{3}\end{align}

を満たす位置演算子\(\hat q_i\)と運動量演算子\(\hat p_i\)に置き換えて、波動関数\(\phi\)に作用させて量子論的な式であるクライン-ゴルドン方程式(1)を求めた。これが正準量子化の手続きである。

 もし、クライン-ゴルドン方程式

\begin{align}\left(\partial_\mu\partial^\mu+m^2\right)\phi=0\tag{1}\end{align}

の\(\phi\)を場と解釈するのなら、1粒子における演算子\(\hat q_i\),\(\hat p_i\)は使えないため、これまでの正準量子化の手続きは行なえず、別の正準量子化を考えなければならない。

 そこで、新たな正準量子化を考える。まず、クライン-ゴルドン方程式

\begin{align}\left(\partial_\mu\partial^\mu+m^2\right)\phi=0\tag{1}\end{align}

を直接導くハミルトニアン\(H\)を導く。後でわかるが、このハミルトニアン\(H\)は場\(\phi\)と場に対する正準共役運動量\(\pi=\partial^0\phi\)から成り立っており、これらが演算子となって次の同時刻正準交換関係

\begin{align} [\hat\phi(t,\boldsymbol x),\ \hat\pi(t,\boldsymbol y)]&=i\delta(\boldsymbol x-\boldsymbol y)\tag{4}\end{align}

を満たすとすると場の量子化ができる。このような、場における正準量子化を第2量子化といい、これまでの粒子における正準量子化を第1量子化と呼ぶ。

 第1量子化の正準交換関係

\begin{align} [\hat{q_i},\ \hat{p_j}]&=i\delta_{ij}\tag{3}\end{align}

と第2量子化の同時刻正準交換関係

\begin{align} [\hat\phi(t,\boldsymbol x),\ \hat\pi(t,\boldsymbol y)]&=i\delta(\boldsymbol x-\boldsymbol y)\tag{4}\end{align}

の違いについて1点述べておく。式(3)に現れる添字\(i\),\(j\)は粒子および空間次元を区別するものであり、数は有限かつ離散的であるから式(3)ではクロネッカーのデルタ\(\delta_{ij}\)を用いているが、式(4)に現れる添字\(\boldsymbol x\),\(\boldsymbol y\)は各空間の点を区別するものであり、数は無限かつ連続的であるから式(4)ではデルタ関数\(\delta(\boldsymbol x-\boldsymbol y)\)を用いている。

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次ページから…

次ページでは、場の理論におけるクライン-ゴルドン方程式

\begin{align}\left(\partial_\mu\partial^\mu+m^2\right)\phi=0\end{align}

を導出するラグランジアン密度\(\mathscr{L}\)

\begin{align}\mathscr{L}=\frac{1}{2}\partial_\mu\phi\partial^\mu\phi-\frac{m^2}{2}\phi^2\end{align}

を求める。


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