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クライン-ゴルドン方程式の導出

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 本ページでは、相対論的なハミルトニアンに正準量子化を行ない、相対論的なシュレーディンガー方程式であるクライン-ゴルドン方程式を求める。

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内容

クライン-ゴルドン方程式

 非相対論的なハミルトニアンに正準量子化を行なうとシュレーディンガー方程式が得られた(以前のページ参照)が、相対論的なハミルトニアンに正準量子化を行なうと相対論的なシュレーディンガー方程式であるクライン-ゴルドン方程式が得られる。

クライン-ゴルドン方程式の導出

 クライン-ゴルドン方程式を導出するために、初めに、相対論的なハミルトニアン\(H\)を求める。

 まず、エネルギー\(E\)とハミルトニアン\(H\)は等しいため、次のアインシュタインの関係式

\begin{align*}E^2=m^2c^4+\boldsymbol p^2c^2\tag{1}\end{align*}

は以下のように書くことができる。

\begin{align*}H^2=m^2c^4+\boldsymbol p^2c^2\tag{2}\end{align*}

ここで、運動量の2乗\(\boldsymbol p^2\)は

\begin{align*}\boldsymbol p^2&=p_1{}^2+p_2{}^2+p_3{}^2\\&=p_x{}^2+p_y{}^2+p_z{}^2\tag{3}\end{align*}

と定義している。

 次に、正準量子化を行なう。正準交換関係

\begin{align} [\hat{q_i},\ \hat{p_j}]&=i\hbar\delta_{ij}\tag{4}\end{align}

を満たす演算子\(\hat{q}_i\),\(\hat p_j\)を、

\begin{align*}\hat q_i&=q_i\tag{5}\\\hat p_j&=-i\hbar \frac{\partial }{\partial q_j}\tag{6}\end{align*}

と定義して、式(2)を演算子の形で表すと

\begin{align*}\hat H^2=m^2c^4-c^2\hbar^2\left(\frac{\partial^2}{\partial q_1{}^2}+\frac{\partial^2}{\partial q_2{}^2}+\frac{\partial^2}{\partial q_3{}^2}\right)\tag{7}\end{align*}

と表せる。ここで、

\begin{align*}q_1&=x\\q_2&=y\\q_3&=z\end{align*}

であるため、座標\(x\),\(y\),\(z\)で表すと

\begin{align*}\hat H^2=m^2c^4-c^2\hbar^2\left(\frac{\partial^2}{\partial x^2}+\frac{\partial^2}{\partial y^2}+\frac{\partial^2}{\partial z^2}\right)\tag{8}\end{align*}

となる。また、量子力学においてハミルトニアンは次の関係

\begin{align*}\hat H=i\hbar\frac{\partial}{\partial t}\tag{9}\end{align*}

を持つため、この関係を式(8)に使うと

\begin{align*}-\hbar^2\frac{\partial^2}{\partial t^2}=m^2c^4-c^2\hbar^2\left(\frac{\partial^2}{\partial x^2}+\frac{\partial^2}{\partial y^2}+\frac{\partial^2}{\partial z^2}\right)\tag{10}\end{align*}

となり、波動関数\(\phi\)に作用させると

\begin{align*}-\hbar^2\frac{\partial^2}{\partial t^2}\phi=m^2c^4\phi-c^2\hbar^2\left(\frac{\partial^2}{\partial x^2}+\frac{\partial^2}{\partial y^2}+\frac{\partial^2}{\partial z^2}\right)\phi\tag{11}\end{align*}

となる。最後に両辺を整理すると

\begin{align*}\left\{\frac{1}{c^2}\frac{\partial^2}{\partial t^2}-\left(\frac{\partial^2}{\partial x^2}+\frac{\partial^2}{\partial y^2}+\frac{\partial^2}{\partial z^2}\right)+\frac{m^2c^2}{\hbar^2}\right\}\phi=0\tag{12}\end{align*}

と表すことができ、これがクライン-ゴルドン方程式である。微分ベクトル(以前のページ参照)を用いると

\begin{align*}\left(\partial_\mu\partial^\mu+\frac{m^2c^2}{\hbar^2}\right)\phi=0\tag{13}\end{align*}

と表すことができ、さらにダランベルシアン\(\Box\)を用いると次のようにシンプルに表記できる。

\begin{align*}\left(\Box+\frac{m^2c^2}{\hbar^2}\right)\phi=0\tag{14}\end{align*}

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次ページから…

次ページでは、クライン-ゴルドン方程式がポアンカレ変換(ローレンツ変換と時空座標の並進)の下で不変であることをみる。


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