負のエネルギー解

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本ページでは…

 本ページでは、シュレーディンガー方程式には現れなかった負のエネルギー解がクライン-ゴルドン方程式に現れたのは、元となったアインシュタインの関係式

\begin{align*}E^2=m^2c^4+\boldsymbol p^2c^2\end{align*}

がエネルギー\(E\)の二次式だからであることを確認する。

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前ページでは、クライン-ゴルドン方程式における確率密度\(\rho\)

\begin{align*}\rho&=\frac{i\hbar}{2mc^2}\left(\phi^*\frac{\partial \phi}{\partial t}-\frac{\partial \phi^*}{\partial t}\phi\right)\end{align*}

が負の値もとり、シュレーディンガー方程式で行なえた確率解釈がクライン-ゴルドン方程式では困難であることを確認した。また、クラインゴルドン方程式において、エネルギー\(E\)が負の値をとるとき、確率密度\(\rho\)が負の値になることも確認した。

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内容

負のエネルギー解

 クライン-ゴルドン方程式において確率解釈が困難な理由は、確率密度\(\rho\)の形がシュレーディンガー方程式の際と異なり、負のエネルギー解のときに確率密度\(\rho\)が負の値となるからであった。

 では、なぜシュレーディンガー方程式には現れなかった負のエネルギー解がクライン-ゴルドン方程式に現れたのだろうか。負のエネルギー解さえ現れなければ、たとえ確率密度\(\rho\)の形がシュレーディンガー方程式と異なっていたとしても、確率密度\(\rho\)は非負の値になり、クライン-ゴルドン方程式においても確率解釈ができるのでは?と思われる。

 負のエネルギー解が現れた理由は、アインシュタインの関係式

\begin{align*}E^2=m^2c^4+\boldsymbol p^2c^2\tag{1}\end{align*}

がエネルギー\(E\)の二次式で、正のエネルギー解\(E=+\sqrt{m^2c^4+\boldsymbol p^2c^2}\)だけでなく、負のエネルギー解\(E=-\sqrt{m^2c^4+\boldsymbol p^2c^2}\)も含むからである。アインシュタインの関係式を元にしてクライン-ゴルドン方程式を作った以上、負のエネルギー解を避けることはできない。

負のエネルギー解の問題点

 このように、負のエネルギー解は確率密度の値を負にしてしまう弊害があるが、負のエネルギーを認めてしまうともうひとつ問題が生じる。

 それは、負のエネルギーが存在するということはエネルギー準位に下限がないことを表しており、全ての状態は不安定になってしまい、「エネルギーを放出しながら低いエネルギー準位に落ちる」ことを永遠に繰り返す。

このようなことは物理的に認めることができないため、やはり負のエネルギー解が存在することは問題である。

次ページから…

次ページでは、荷電粒子が従うクライン-ゴルドン方程式

\begin{align*}\left\{\frac{1}{c^2}\left(\frac{\partial}{\partial t}+\frac{iqA^0}{\hbar}\right)^2-\left(\boldsymbol\nabla-\frac{iq\boldsymbol A}{\hbar}\right)^2+\frac{m^2c^2}{\hbar^2}\right\}\phi&=0\end{align*}

を導出し、この方程式がゲージ不変性を持つことを見る。

 また、相対論的な荷電粒子におけるハミルトニアン

\begin{align*}H=\pm c\sqrt{(\boldsymbol p-q\boldsymbol A)^2+m^2c^2}+qA^0\end{align*}

を求め、正のハミルトニアンは非相対論的な荷電粒子におけるハミルトニアン

\begin{align*}H&=\frac{1}{2m}(\boldsymbol p-q\boldsymbol A)^2+qA^0\end{align*}

に静止エネルギー\(mc^2\)を足したものであることを確認する。


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