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エネルギー運動量ベクトル

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本ページでは…

 本ページでは、成分にエネルギーと運動量を持つエネルギー運動量ベクトルを調べ、エネルギー運動量ベクトルを用いるとアインシュタインの関係式をシンプルに記載できることを確かめる。

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前ページでは、あるテンソルがどの慣性系においても同じ値をとる定数であるとき、そのテンソルを不変テンソルと呼ぶことをみた。また、クロネッカーのデルタや計量テンソルが不変テンソルであることを確かめた。

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内容

エネルギー運動量ベクトル

 次のように、成分にエネルギー\(E/c\)と運動量\(p_x,p_y,p_z\)を持つ反変ベクトル\(p^\mu\)および共変ベクトル\(p_\mu\)をエネルギー運動量ベクトルと呼ぶ。

\begin{align}p^{\mu}&=(p^0,p^1,p^2,p^3)\\&=\left(\frac{E}{c},p_x,p_y,p_z\right)\tag{1}\\p_{\mu}&=(p_0,p_1,p_2,p_3)\\&=\left(\frac{E}{c},-p_x,-p_y,-p_z\right)\tag{2}\end{align}

ここで、微小変化を表す反変ベクトル\(dx^\mu\)と共変ベクトル\(dx_\mu\)は座標成分のみ符号が逆になっていたこと

\begin{align}dx^{\mu}&=(dx^0,dx^1,dx^2,dx^3)\\&=(cdt,dx,dy,dz)\tag{3}\\dx_{\mu}&=(dx_0,dx_1,dx_2,dx_3)\\&=(cdt,-dx,-dy,-dz)\tag{4}\end{align}

を思い出すと、今回のエネルギー運動量ベクトルの反変ベクトル\(p^\mu\)と共変ベクトル\(p_\mu\)においても、座標成分のみ符号が逆になっているが、これは次のアインシュタインの関係式

\begin{align*}E^2&=m^2c^4+p_x{}^2c^2+p_y{}^2c^2+p_z{}^2c^2\\\rightarrow m^2c^2&=\frac{E^2}{c^2}-p_x{}^2-p_y{}^2-p_z{}^2\tag{5}\end{align*}

をエネルギー運動量ベクトルを用いて次のように表せるようにするためである。

\begin{align*}m^2c^2=p_\mu p^\mu\tag{6}\end{align*}

微小変化との関係

 運動量\(p_x,p_y,p_z\)を微分形で表すと

\begin{align*}p_x&=\frac{dx}{dt}\\p_y&=\frac{dy}{dt}\\p_z&=\frac{dz}{dt}\end{align*}

であり、反変ベクトル\(dx^\mu\)の成分で表すと

\begin{align*}p_x&=\frac{dx^1}{dt}\\p_y&=\frac{dx^2}{dt}\\p_z&=\frac{dx^3}{dt}\end{align*}

となり、共変ベクトル\(dx_\mu\)の成分で表すと

\begin{align*}p_x&=-\frac{dx_1}{dt}\\p_y&=-\frac{dx_2}{dt}\\p_z&=-\frac{dx_3}{dt}\end{align*}

となる。

 次に、エネルギー運動量ベクトル\(p^\mu\),\(p_\mu\)で表すと

\begin{align*}p^1&=\frac{dx^1}{dt}\\p^2&=\frac{dx^2}{dt}\\p^3&=\frac{dx^3}{dt}\\p_1&=\frac{dx_1}{dt}\\p_2&=\frac{dx_2}{dt}\\p_3&=\frac{dx_3}{dt}\end{align*}

となり、上付き添え字のエネルギー運動量ベクトル\(p^\mu\)は上付き添え字の微小変化\(dx^\mu\)と、下付き添え字のエネルギー運動量ベクトル\(p_\mu\)は下付き添え字の微小変化\(dx_\mu\)と関係があることが分かる。

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次ページから…

次ページでは、成分に時空座標の微分を持つ微分ベクトルが共変性を持つか反変性を持つかを調べ、微分ベクトルから作られるダランベール演算子について見てみる。


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