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本ページでは、エルミートの微分方程式
\begin{align*}\frac{d^{2}}{dx^{2}}H_{n}(x)-2x\frac{d}{dx}H_{n}(x)+ 2nP_{l}( x)=0\end{align*}
において、\(n\)が\(0\)以上の整数\(\{l\in\mathbb{Z}\mid n≧0\}\)のときの解であるエルミート多項式
\begin{align*}H_{n}(x)=\sum ^{[\frac{n}{2}]}_{k=0}\frac{(-1)^{k}n!}{k!(n-2k)!}(2x)^{n-2k}\end{align*}
をべき級数解法で求める。
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前々ページでは、線形微分方程式
\begin{align*}\frac{d^{n}}{dx^{n}}y+p_{1}(x)\frac{d^{n-1}}{dx^{n-1}}y+p_{2}(x)\frac{d^{n-2}}{dx^{n-2}}y+\cdots+p_{n}(x)y=0\end{align*}
の解が次のような級数
\begin{align*}y&=c_{0}+c_{1}x+c_{2}x^{2}+c_{3}x^{3}+c_{4}x^{4}+\cdots\\&=\sum ^{\infty }_{k=0}c_{k}x^{k}\end{align*}
になると仮定して代入・係数比較を駆使して解き進めるべき級数解法を調べた。
内容
エルミートの微分方程式とは
エルミートの微分方程式とは二階の線形常微分方程式である
\begin{align*}\frac{d^{2}}{dx^{2}}H_{n}(x)-2x\frac{d}{dx}H_{n}(x)+ 2nP_{l}( x)=0\tag{1}\end{align*}
のことを指し、この微分方程式の解をエルミート関数という。\(n\)が\(0\)以上の整数\(\{l\in\mathbb{Z}\mid n≧0\}\)のときのエルミート関数は多項式
\begin{align*}H_{n}(x)=\sum ^{[\frac{n}{2}]}_{k=0}\frac{(-1)^{k}n!}{k!(n-2k)!}(2x)^{n-2k}\tag{2}\end{align*}
となりエルミート多項式と呼ばれている。
量子力学において「調和振動子におけるシュレーディンガー方程式」に現れる微分方程式はエルミートの微分方程式であり、その解はエルミート多項式である。
べき級数解法
線形微分方程式を解く方法として、べき級数解法というものがある(以前のページを参照)。この方法は、線形微分方程式
\begin{align*}\frac{d^{n}}{dx^{n}}y+p_{1}(x)\frac{d^{n-1}}{dx^{n-1}}y+p_{2}(x)\frac{d^{n-2}}{dx^{n-2}}y+\cdots+p_{n}(x)y=0\tag{3}\end{align*}
において、係数関数の\(p_{1}(x)\),\(p_2(x)\),\(\cdots\),\(p_{n}(x)\)が\(x=0\)の周りでテイラー展開できるときに使うことができ、微分方程式の解\(y\)も\(x=0\)の周りでテイラー展開できて次のような級数
\begin{align*}y&=c_{0}+c_{1}x+c_{2}x^{2}+c_{3}x^{3}+c_{4}x^{4}+\cdots\\&=\sum ^{\infty }_{k=0}c_{k}x^{k}\tag{4}\end{align*}
になると仮定して、代入・係数比較を駆使して解き進める。
エルミート多項式の導出
べき級数解法を用いて\(n\)が\(0\)以上の整数\(\{l\in\mathbb{Z}\mid n≧0\}\)のときのエルミートの微分方程式を解き、エルミート多項式を導出してみる。べき級数解法として、次の仮定式
\begin{align*}P_{l}(x)&=c_{0}+c_{1}x+c_{2}x^{2}+c_{3}x^{3}+c_{4}x^{4}+\cdots\\&=\sum ^{\infty }_{k=0}c_{k}x^{k}\tag{5}\end{align*}
をエルミートの微分方程式(1)に代入すると
\begin{align*}\frac{d^{2}}{dx^{2}}\left(\sum ^{\infty }_{k=0}c_{k}x^{k}\right)-2x\frac{d}{dx}\left(\sum ^{\infty }_{k=0}c_{k}x^{k}\right)+ 2n\left(\sum ^{\infty }_{k=0}c_{k}x^{k}\right)=0 \tag{6}\end{align*}
となり、仮定した式(5)を一階微分・二階微分した項が表れる。まず、式(5)の一階微分を計算すると
\begin{align*}\frac{d}{dx}\left(\sum ^{\infty }_{k=0}c_{k}x^{k}\right)&=c_{1}+2c_{2}x+3c_{3}x^{2}+4c_{4}x^{3}+\cdots\\&=\sum ^{\infty }_{k=1}kc_{k}x^{k-1}\\&=\sum ^{\infty }_{k=0}kc_{k}x^{k-1}\tag{7}\end{align*}
が得られる。二行目から三行目への変換において、和記号を\(k=1\)から\(k=0\)に変えても三行目の和記号の初項は\(0\)となるためこのような変換を行なった。式(5)の二階微分も同様に行うと、
\begin{align*}\frac{d^{2}}{dx^{2}}\left(\sum ^{\infty }_{k=0}c_{k}x^{k}\right)&=2c_{2}+2\cdot 3c_{3}x+3\cdot 4c_{4}x^{2}+\cdots\\&=\sum ^{\infty }_{k=2}k(k-1)c_{k}x^{k-2}\\&=\sum ^{\infty }_{k=0}k(k-1)c_{k}x^{k-2}\tag{8}\end{align*}
となる。先ほどと同様、二行目から三行目への変換において、和記号を\(k=2\)から\(k=0\)に変えても三行目の和記号の初項と第二項は\(0\)となるためこのような変換を行なった。
式(7),(8)を式(6)に代入すると
\begin{align*}\left(\sum ^{\infty }_{k=0}k(k-1)c_{k}x^{k-2}\right)-2x\left(\sum ^{\infty }_{k=0}kc_{k}x^{k-1}\right)+ 2n\left(\sum ^{\infty }_{k=0}c_{k}x^{k}\right)=0 \tag{9}\end{align*}
となり、かっこを外して展開すると
\begin{align*}\sum ^{\infty }_{k=0}k(k-1)c_{k}x^{k-2}+ \sum ^{\infty }_{k=0}(2n-2k)c_{k}x^{k}&=0\tag{10}\end{align*}
を得る。次に、式(10)を整理するために、すべての項の\(x\)の指数を\(k\)に揃える。まずは、式(10)の左辺第1項を変形してみる。左辺第1項\(\sum\)の初項と第二項は\(0\)であるため和記号を\(k=0\)から\(k=2\)に変えても変わらず、\(k\Rightarrow k+2\)と\(k\)を二つずらすと式(11)が得られる。
\begin{align*}\sum ^{\infty }_{k=0}k(k-1)c_{k}x^{k-2}&=\sum ^{\infty }_{k=2}k(k-1)c_{k}x^{k-2}\\&=\sum ^{\infty }_{k=0}(k+1)(k+2)c_{k+2}x^{k}\tag{11}\end{align*}
そして、式(11)を式(10)に代入すると
\begin{align*}\sum ^{\infty }_{k=0}(k+1)(k+2)c_{k+2}x^{k}+\sum ^{\infty }_{k=0}(2n-2k)c_{k}x^{k}&=0\tag{12}\end{align*}
となって、\(x^{k}\)でまとめると
\begin{align*}\sum ^{\infty }_{k=0}\left[(k+1)(k+2)c_{k+2}+(2n-2k)c_{k}\right]x^{k}=0 \tag{13}\end{align*}
が得られる。この関係式(13)がどのような\(x\)でも恒等的に成立するためには各項の係数が\(0\)でなければならないため、次の漸化式
\begin{align*}c_{k+2}&=\frac{(2k-2n)}{(k+1)(k+2)}c_{k} \tag{14}\end{align*}
が求められる。
この漸化式(14)を見て分かることは、一つ飛ばしで展開係数が決まるので、エルミート多項式(6)の偶数項と奇数項はそれぞれ独立しているということである。
\begin{align*}H_{n}(x)&=\sum ^{\infty }_{k=0}c_{k}x^{k}\\&=\sum ^{\infty }_{k=0}c_{2k}x^{2k}+\sum ^{\infty }_{k=0}c_{2k+1}x^{2k+1}\tag{15}\end{align*}
式(15)の第一項は偶数項、第二項は奇数項であり、それぞれの漸化式は次のようになる。
\begin{align*}c_{2k+2}&=\frac{(4k-2n)}{(2k+1)(2k+2)}c_{2k}\tag{16}\\c_{(2k+1)+2}&=\frac{(4k-2n+2)}{(2k+2)(2k+3)}c_{2k+1}\tag{17}\end{align*}
そのため、漸化式(16),(17)を用いてエルミート多項式(16)を決定する際には、偶数項と奇数項それぞれの最低次数項である\(c_{0}\)と\(c_{1}\)を決定する必要がある。
では、偶数項と奇数項は無限に続くのか?というと、\(n\)が\(0\)以上の整数のとき、両方は無限に続かない。\(n=2k\)なら漸化式(16)に、\(n=2k+1\)なら漸化式(17)に代入すると\(c_{l+2}=0\)となって、それ以降の展開係数も\(0\)となるため、\(l\)が偶数ならエルミート多項式(15)の偶数項は\(n\)次の多項式となり、\(n\)が奇数なら奇数項は\(n\)次の多項式となる。つまり、偶数項と奇数項どちらかは途中で止まるが、一方は永遠に続くことになる。ただ、もう一方の最低次数項\(c_{0}\)または\(c_{1}\)を\(0\)にすれば、もう一方の偶数項または奇数項は\(0\)となるため、エルミート多項式(16)全体を有限項で止めることができる。そして、有限項で多項式を止めることができれば、エルミート多項式はどのような\(x\)でも値は収束し、エルミートの微分方程式の解となる。
一方、有限項で止めることができず、解として項が無限に続く無限級数が得られても、そのような解は物理的に意味を持つ解ではない。漸化式(16)(17)において極限\(k\rightarrow \infty\)をとると
\begin{align*}c_{2k+2}&\simeq \frac{1}{k}c_{2k}\tag{18}\\c_{(2k+1)+2}&\simeq \frac{1}{k}c_{2k+1}\tag{19}\end{align*}
となり、偶数項または奇数項において十分大きな項の係数は\(1/k\)倍ずつ小さくなることが分かる。このときの解は
\begin{align*}e^{x^2}=\sum^\infty_{k=0}\frac{x^{2k}}{k!}\tag{20}\end{align*}
と似たような振る舞いをし、一般的にこの解を用いて表した波動関数は無限遠で発散するため物理的に意味のある解とはならない。
例えば、「調和振動子におけるシュレーディンガー方程式」の波動関数は
\begin{align*}H_n(x)e^{-\frac{2}{x}}\tag{21}\end{align*}
と表されるため、エルミート多項式\(L_n(x)\)が関数\(e^{x^2}\)と似たような振る舞いをするとき、波動関数(18)は無限遠で発散してしまう。
\(n\)が偶数のとき
\(n\)が偶数のとき、つまり、\(n=2m\)(\(m\)が\(0\)以上の整数\(\{m\in\mathbb{Z}\mid m≧0\}\))の時、漸化式(16)を用いて、エルミート多項式(15)を求めてみる。先ほど述べたように、\(n\)が偶数ならエルミート多項式(15)の偶数項は\(n\)次の多項式となる。そして、奇数項は無限に続くが、最低次数項\(c_{1}\)を\(0\)にすれば奇数項は\(0\)となり、エルミート多項式(15)全体を有限項で止めることができる。今回は、この条件で、\(n\)が偶数の時のエルミート多項式を導出してみる。
\(n=2m\)(\(\{l\in\mathbb{Z}\mid l≧0\}\))の条件のもと、漸化式(16)を繰り返してみると、
\begin{align*}c_{2k}&=\frac{-4(m-k+1)}{2k(2k-1)}c_{2(k-1)}\\&=\frac{-4(m-k+1)}{2k(2k-1)}\frac{-4(m-k+2)}{(2k-2)(2k-3)}c_{2(k-2)}\\&=\frac{(-4)^2(m-k+1)(m-k+2)}{2k(2k-1)(2k-2)(2k-3)}\\&=\cdots\\&=\frac{(-4)^k(m-k+1)(m-k+2)\cdots m}{2k(2k-1)(2k-2)(2k-3)\cdots1}\\&=\frac{(-1)^{k}2^{2k}m!}{(2k)!(m-k)!}c_{0}\tag{22}\end{align*}
となって、展開係数\(c_{2k}\)の\(k\)が\(1\)以上のときの一般項が得られる。ただ、一般項(22)に\(k=0\)を代入しても成立するため、一般項(22)は常に成り立つ。一般項(22)を式(15)に代入してエルミート多項式が\(2m\)次であることを考慮すると
\begin{align*}H_{2m}(x)=\sum ^{m }_{k=0}\frac{(-1)^{k}2^{2k}m!}{(2k)!(m-k)!}c_{0}x^{2k}\tag{23}\end{align*}
が得られる。
\(n\)が奇数のとき
\(n\)が奇数のとき、つまり、\(n=2m+1\)(\(m\)が\(0\)以上の整数\(\{m\in\mathbb{Z}\mid m≧0\}\))の時、漸化式(17)を用いて、ルジャンドル多項式(15)を求めてみる。先ほど述べたように、\(n\)が奇数ならルジャンドル多項式(15)の奇数項は\(n\)次の多項式となる。そして、偶数項は無限に続くが、最低次数項\(c_{0}\)を\(0\)にすれば偶数項は\(0\)となり、ルジャンドル多項式(15)全体を有限項で止めることができる。今回は、この条件で、\(n\)が奇数の時のルジャンドル多項式を導出してみよう。
\(n=2m+1\)(\(\{l\in\mathbb{Z}\mid l≧0\}\))の条件のもと、漸化式(17)を繰り返してみると、
\begin{align*}c_{2k+1}&=\frac{-4(m-k+1)}{2k(2k+1)}c_{2(k-1)+1}\\&=\frac{-4(m-k+1)}{2k(2k+1)}\frac{-4(m-k+2)}{(2k-1)(2k-2)}c_{2(k-2)+1}\\&=\frac{(-4)^2(m-k+1)(m-k+2)}{(2k+1)2k(2k-1)(2k-2)}\\&=\cdots\\&=\frac{(-4)^k(m-k+1)(m-k+2)\cdots m}{(2k+1)2k(2k-1)(2k-2)\cdots2}\\&=\frac{(-1)^{k}2^{2k}m!}{(2k+1)!(m-k)!}c_{1}\tag{24}\end{align*}
となって、展開係数\(c_{2k+1}\)の\(k\)が\(1\)以上のときの一般項が得られる。ただ、一般項(24)に\(k=0\)を代入しても成立するため、一般項(23)は常に成り立つ。一般項(24)を式(15)に代入して、エルミート多項式が\(2m+1\)次であることを考慮すると
\begin{align*}H_{2m+1}(x)=\sum ^{m }_{k=0}\frac{(-1)^{k}2^{2k}m!}{(2k+1)!(m-k)!}c_{1}x^{2k+1}\tag{25}\end{align*}
が得られる。
二式の統一
\(l\)が偶数のときの多項式(23)と\(l\)が奇数のときの多項式(25)を統一してみよう。
まず、偶数のときの多項式(23)を変形する。式(23)の和記号は\(k=0\)から\(k=m\)であり、\(2\)ずつ\(x\)の次数が上がる多項式だが、表記を分かりやすくするため\(2\)ずつ\(x\)の次数が下がる多項式にする。これは和記号は\(k=0\)から\(k=m\)のままで、和記号内の\(k\)を\(m-k\)に置き換えればいいので
\begin{align*}H_{2m}(x)=\sum ^{m }_{k=0}\frac{(-1)^{m-k}2^{2(m-k)}m!}{(2m-2k)!k!}c_{0}x^{2m-2k}\tag{26}\end{align*}
と表せる。同様に、奇数のときの多項式(25)も\(2\)ずつ\(x\)の次数が下がる多項式にするために、和記号内の\(k\)を\(m-k\)に置き換えると
\begin{align*}H_{2m+1}(x)=\sum ^{m }_{k=0}\frac{(-1)^{m-k}2^{2(m-k)}m!}{(2m-2k+1)!k!}c_{1}x^{2m-2k+1}\tag{27}\end{align*}
となる。次に、式(26)に\(2m=n\)、式(27)に\(2m+1=n\)を用いると
\begin{align*}H_{2m}(x)&=H_{n}(x)=\sum ^{\frac{n}{2}}_{k=0}\frac{(-1)^{\frac{n}{2}-k}2^{n-2k}\left(\frac{n}{2}\right)!}{(n-2k)!k!}c_{0}x^{n-2k}\tag{28}\\H_{2m+1}(x)&=H_{n}(x)=\sum ^{\frac{n-1}{2}}_{k=0}\frac{(-1)^{\frac{n-1}{2}-k}2^{n-2k-1}\left(\frac{n-1}{2}\right)!}{(n-2k)!k!}c_{1}x^{n-2k}\tag{29}\end{align*}
となって、一気にすごく近い式となる。二式の共有箇所をまとめてみると
\begin{align*}H_{2m}(x)=H_{n}(x)&=\sum ^{\frac{n}{2}}_{k=0}\frac{(-1)^{k}n!}{(n-2k)!k!}\frac{\left(\frac{n}{2}\right)!}{(-1)^{\frac{n}{2}}n!}c_{0}(2x)^{n-2k}\tag{30}\\H_{2m+1}(x)=H_{n}(x)&=\sum ^{\frac{n-1}{2}}_{k=0}\frac{(-1)^{k}n!}{(n-2k)!k!}\frac{\left(\frac{n-1}{2}\right)!}{(-1)^{\frac{n-1}{2}}2n!}c_{1}(2x)^{n-2k}\tag{31}\end{align*}
となる。分子分母に急に出てきた\(n!\)は後ほどのページで母関数表示やロドリゲスの公式がシンプルになるように組み込んだ。そして、共通でない箇所を消すために次のように最低次数項\(c_{0}\),\(c_{1}\)
\begin{align*}c_{0}=\frac{(-1)^{\frac{n}{2}}n!}{\left(\frac{n}{2}\right)!}\tag{32}\\c_{1}=\frac{(-1)^{\frac{n-1}{2}}2n!}{\left(\frac{n-1}{2}\right)!}\tag{33}\end{align*}
を決めると、式(30)と式(31)は
\begin{align*}P_{2m}(x)=P_{l}(x)=\sum ^{\frac{l}{2} }_{k=0}\\frac{(-1)^{k}n!}{(n-2k)!k!}\frac{\left(\frac{n-1}{2}\right)!}{(-1)^{\frac{n-1}{2}}2n!}c_{1}(2x)^{n-2k}tag{33}\\P_{2m+1}(x)=P_{l}(x)=\sum ^{\frac{n-1}{2}}_{k=0}\\frac{(-1)^{k}n!}{(n-2k)!k!}\frac{\left(\frac{n-1}{2}\right)!}{(-1)^{\frac{n-1}{2}}2n!}c_{1}(2x)^{n-2k}tag{34}\end{align*}
となって、統一できる!最後の仕上げとして、ガウス記号\([]\)(\([a]\)は\(a\)の小数部を切り捨てた整数を表す)を用いた関係\(m=[\frac{l}{2}]=[\frac{l}{2}-\frac{1}{2}]\)を使い、偶数項の式(33)と奇数項の式(34)を統一すると
\begin{align*}H_{n}(x)=\sum ^{[\frac{n}{2}]}_{k=0}\frac{(-1)^{k}n!}{k!(n-k)!}(2x)^{n-2k}\tag{2}\end{align*}
ときれいにまとまる。
余談だが、式(25)と式(26)で\(2\)ずつ\(x\)の次数が下がる多項式にしたのは、ガウス記号が\(x\)の次数に含まれて煩雑になることを防ぐためであった。
\(n\)が\(0\)以上の整数でないとき
\(n\)が整数でないとき、最低次数項\(c_{0}\)と\(c_{1}\)がゼロでない限り漸化式(14)はゼロにならず、無限級数となる。先程も述べたが、無限級数は物理的に意味のある解とはならない。最低次数項\(c_{0}\)と\(c_{1}\)がゼロのときは\(H_n(x)=0\)となり、こちらも物理的に意味のある解とはならない。
エルミート多項式の具体例
求めたエルミート多項式(2)から具体的な形を求めると次のようになる。
\begin{align*}H_{n}(x)&=\sum ^{[\frac{n}{2}]}_{k=0}\frac{(-1)^{k}n!}{k!(n-2k)!}(2x)^{n-2k}\tag{2}\\H_{0}(x)&=\sum ^{[\frac{0}{2}]}_{k=0}\frac{(-1)^{k}0!}{k!(0-2k)!}(2x)^{0-2k}=1\\H_{1}(x)&=\sum ^{[\frac{1}{2}]}_{k=0}\frac{(-1)^{k}1!}{k!(1-2k)!}(2x)^{1-2k}=2x\\H_{2}(x)&=\sum ^{[\frac{2}{2}]}_{k=0}\frac{(-1)^{k}2!}{k!(2-2k)!}(2x)^{2-2k}=4x^{2}-2\\H_{3}(x)&=\sum ^{[\frac{3}{2}]}_{k=0}\frac{(-1)^{k}3!}{k!(3-2k)!}(2x)^{3-2k}=8x^{3}-12x\\H_{4}(x)&=\sum ^{[\frac{4}{2}]}_{k=0}\frac{(-1)^{k}4!}{k!(4-2k)!}(2x)^{4-2k}=16x^{4}-12x^{2}+3\end{align*}
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量子力学ではエルミート多項式の「直交関係」を使うことがあるため、次ページでは直交関係を見るために使用するエルミート多項式の母関数表示を求める。
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