フロベニウス法

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 本ページでは、フロベニウス方について調べる。フロベニウス法とは、線形微分方程式

\begin{align*}p’_{0}(x)\frac{d^{n}}{dx^{n}}y+p’_{1}(x)\frac{d^{n-1}}{dx^{n-1}}y+p’_{2}(x)\frac{d^{n-2}}{dx^{n-2}}y+\cdots+p’_{n}(x)y=0\end{align*}

の最高階導関数の係数関数\(p’_{0}(x)\)が\(x=0\)のときに\(0\)となり、解が\(x=0\)の周りでテイラー展開できないときでも使える解法であり、係数関数\(p’_{0}(x)\),\(p’_{1}(x)\),\(p’_2(x)\),\(\cdots\),\(p’_{n}(x)\)が\(x=0\)の周りでテイラー展開できるなら、\(x^{r}\)(\(r\)は実数\(\{r\in\mathbb{R}\}\))を級数の中に組み入れた多項式(または無限級数)

\begin{align*}y&=x^{r}(c_{0}+c_{1}x+c_{2}x^{2}+c_{3}x^{3}+\cdots)\\&=\sum ^{\infty }_{k=0}c_{k}x^{k+r}\tag{3}\end{align*}

で解を表せると仮定して解き進めていく。

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 前ページでは、線形微分方程式

\begin{align*}p’_{0}(x)\frac{d^{n}}{dx^{n}}y+p’_{1}(x)\frac{d^{n-1}}{dx^{n-1}}y+p’_{2}(x)\frac{d^{n-2}}{dx^{n-2}}y+\cdots+p’_{n}(x)y=0\tag{1}\end{align*}

の解が\(x=0\)の周りでテイラー展開できて次のような級数

\begin{align*}y&=c_{0}+c_{1}x+c_{2}x^{2}+c_{3}x^{3}+c_{4}x^{4}+\cdots\\&=\sum ^{\infty }_{k=0}c_{k}x^{k}\tag{2}\end{align*}

になると仮定して代入・係数比較を駆使して解き進めるべき級数解法を調べた。

 ここで、べき級数解法が使える条件としては二つの条件があり、条件①「線形微分方程式(1)の係数関数の\(p’_{0}(x)\),\(p’_{1}(x)\),\(p’_2(x)\),\(\cdots\),\(p’_{n}(x)\)が\(x=0\)の周りでテイラー展開できる」と、条件②「線形微分方程式(1)の最高階導関数の係数関数\(p’_{0}(x)\)が\(x=0\)のときに\(0\)とならない」があった。これらの条件を満たすとき、微分方程式の解\(y\)\(x=0\)の周りでテイラー展開できて級数として表すことができるということである。

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内容

べき級数解法の条件を満たさない時

 べき級数解法が使えるための条件として、条件①「線形微分方程式(1)の係数関数の\(p’_{0}(x)\),\(p’_{1}(x)\),\(p’_2(x)\),\(\cdots\),\(p’_{n}(x)\)が\(x=0\)の周りでテイラー展開できる」と、条件②「線形微分方程式(1)の最高階導関数の係数関数\(p’_{0}(x)\)が\(x=0\)のときに\(0\)とならない」があった。これらの条件が満たせない時の解法を考えてみる。

 条件①②両方を満たさない時は、解を\(x=0\)の周りでテイラー展開した形と仮定するのではなく、別の点\(x=a\)の周りでテイラー展開したカタチとして仮定すればよい。ただし、この場合は式がかなり煩雑になってしまう。

 条件②だけ満たさない時は、次から述べるフロベニウス法が使える可能性がある。

フロベニウス法とは

 フロベニウス法とは、線形微分方程式

\begin{align*}p’_{0}(x)\frac{d^{n}}{dx^{n}}y+p’_{1}(x)\frac{d^{n-1}}{dx^{n-1}}y+p’_{2}(x)\frac{d^{n-2}}{dx^{n-2}}y+\cdots+p’_{n}(x)y=0\tag{1}\end{align*}

において、べき級数解法が使える条件①「線形微分方程式(1)の係数関数の\(p’_{0}(x)\),\(p’_{1}(x)\),\(p’_2(x)\),\(\cdots\),\(p’_{n}(x)\)が\(x=0\)の周りでテイラー展開できる」を満たすが、条件②「線形微分方程式(1)の最高階導関数の係数関数\(p’_{0}(x)\)が\(x=0\)のときに\(0\)とならない」を満たさないときに使える方法である。この方法では、微分方程式の解が\(x^{r}\)(\(r\)は実数\(\{r\in\mathbb{R}\}\))を級数の式(2)の中に組み入れた多項式(または無限級数)

\begin{align*}y&=x^{r}(c_{0}+c_{1}x+c_{2}x^{2}+c_{3}x^{3}+\cdots)\\&=\sum ^{\infty }_{k=0}c_{k}x^{k+r}\tag{3}\end{align*}

で表せると仮定して解き進める。ただし、初項は\(c_0\neq0\)とする。なぜなら、実数\(r\)をある値に決定しても、初項が\(c_0=0\)であると

\begin{align*}y&=x^{r}(c_{1}x+c_{2}x^{2}+c_{3}x^{3}+\cdots)\\&=\sum ^{\infty }_{k=0}c_{k+1}x^{k+r+1}\tag{4}\end{align*}

となって、級数の式(3)と比べると展開係数以外は\(r\)を\(r+1\)に置き換えた級数に等しいため、\(r\)が不定になってしまうからである。

 最高階導関数の係数関数\(p’_{0}(x)\)が\(x=0\)のときに\(0\)となると、\(x=0\)のときに解の関数形が大きく変わってしまう可能性がある。このとき、解の関数には特異点が生じる可能性があり、特異点ではもちろん解の関数はテイラー展開できない。しかし、\(x^{r}\)(\(r\)は実数\(\{r\in\mathbb{R}\}\)、例えば\(r=-1\)\(r=1/2\)など)を組み込んだ級数の式(3)を用いたら、上手くつじつまが合って、\(x=0\)のときでも最高階導関数の項が\(0\)にならず、特異点が生じない可能性がある。もしテイラー展開する点が\(x=0\)ではなく\(x=a\)ならば\((x-a)^{r}\)(\(r\)は実数\(\{r\in\mathbb{R}\}\)を用いる。


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