硬貨の歴史と本質

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 本ページでは、硬貨は物々交換の不便さから生まれた貨幣であり、硬貨は負債ではなく純資産であることを確認する。

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 前ページでは、お金の種類は大きく分けて、硬貨と紙幣、そして銀行預金からなること、また、硬貨は純資産だが、紙幣と銀行預金は負債であることを確認した。

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内容

取引のあけぼの…物々交換

 硬貨は「取引」の中から誕生したため、硬貨の歴史を見るはじめとして、取引のあけぼのである物々交換から見ていく。

 物々交換とは、物と物を直接交換する決算手段である。

 原始時代ではもちろん硬貨など存在していなく、物と物とを交換しながら生活をしていた。

 例えば、木の実を集めている人がお肉を食べたくなったら、お肉を取っている人のところに行く。そして、交換する量や内容について話し合い、お互い合意ができたら物々交換が行なわれる。

 でも、もしお肉を取っている人が木の実を欲していなかったら、物々交換は成立しなくなってしまう。この場合は、お肉を取っている人が欲しいものを持っている人のところに行って、木の実と交換したのち、お肉を取っている人のところに行って物々交換する必要がある。

 また、木の実は長期保存できるが、生肉だと長期保存できないため、お肉を取っている人は、取った生肉を速やかにほかの商品に交換しなければならない。

 このように物々交換は不便であったが、原始時代では数人から数十人の住んでいる集落が中心であったため、長らく物々交換は続いていた。

物々交換への不満

 原始時代では物々交換で成り立っていたが、人がどんどん増えていって古代国家が成立していくと、物々交換では成り立たなくなっていきた。

 例えば、古代国家では納税や宗教供物が国民の義務となったが、人によって捧げる物が違うと国家は税や供物の管理が大変になる。そこで、物の交換価値を客観的に表す尺度、価値の尺度となるものが必要になってきた。

 また、国家のように人が多くなってくると取引数が莫大に増えるため、万人に認められて、万人との取引で交換手段となるものも必要になってくる。そして、物の購入だけではなく、賠償や納税などの決済手段になることも必要である。交換手段と決済手段を合わせて流通手段と言う。

 最後に、国家では富や権力を表すために、価値を貯蔵できるものも必要になってきた。

 このような不便の中で生まれたものが硬貨になる。

硬貨の誕生

 最古の硬貨は紀元前10世紀頃にリディア王国で作られたエレクトロン貨である。

  硬貨には多くの特徴があった。例えば、腐らないため保存性は高く、同じ価値の穀物などと比べて運搬性が良く、金属には品質のバラツキがなくて等質性が高く、金属の硬貨は熱で溶かせるため分割性・結合性が良い、硬貨の素材である貴金属は希少性が高い、などなど多くのメリットがあった。そして、硬貨の使用は広がっていった。 

硬貨は純資産である

 ここまで硬貨の歴史を見てきたが、硬貨は誰かの負債になっていたか?そう、硬貨は誰の負債にもなっていない。なぜなら、国や政府が硬貨を発行するときは、鉱山から貴金属を採掘して鋳造しているだけだからです。(もし、鉱山が人だったら負債だったかもしれない⋯)

 そして、金貨や銀貨には、金属そのものの価値があり、資産にもなる。もちろん現代の硬貨には「額面の価値」はないが、政府信用により額面が保証されている。

 以上より、硬貨は「誰かの負債」ではなく「純資産」になる。

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 硬貨が純資産というのはイメージがしやすく、多くの人は「お金」というと、イメージのしやすい「硬貨」を思い浮かべる。しかし、現在では硬貨の流通量はかなり少なく、流通しているお金のほとんどが負債である紙幣や銀行預金のため、お金の本当の正体は「負債」になる。次ページから、紙幣や銀行預金の歴史と負債であることを確認する。


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