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本ページでは、あるテンソルがどの慣性系においても同じ値をとる定数であるとき、そのテンソルを不変テンソルと呼ぶことをみる。また、クロネッカーのデルタや計量テンソルが不変テンソルであることを確かめる。
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前ページでは、テンソルとは2つ以上の添え字を持つ量であることをみた。また、場合によっては、スカラー、ベクトル、テンソルを総称してテンソルと呼ぶこともあり、その際、スカラーを0階のテンソル、ベクトルを1階のテンソルと呼んだ。
内容
不変テンソルとは
あるテンソルがどの慣性系においても同じ値をとる定数であるとき、そのテンソルを不変テンソルと呼ぶ。
不変テンソルの例
クロネッカーのデルタ
クロネッカーのデルタ\(\delta^\rho{}_\gamma\)は2階の混合テンソルであり、ローレンツ変換の下で次のように変換する。
\begin{align*}\delta’^\mu{}_\nu=\varLambda^\mu{}_\rho\delta^\rho{}_\gamma(\varLambda^{-1})^\gamma{}_\nu\tag{1}\end{align*}
一方、クロネッカーのデルタ\(\delta^\rho{}_\gamma\)は次の関係
\begin{align*}\delta^\rho{}_\gamma=\left\{\begin{array}{c}1\ \ \ (\rho=\gamma)\\0\ \ \ (\rho\neq\gamma)\end{array}\right.\tag{2}\end{align*}
を満たす定数であり、ローレンツ変換された慣性系のクロネッカーのデルタ\(\delta’^\mu{}_\nu\)は元の慣性系のクロネッカーのデルタ\(\delta^\rho{}_\gamma\)と等しい。
\begin{align*}\delta^\mu{}_\nu=\varLambda^\mu{}_\rho\delta^\rho{}_\gamma(\varLambda^{-1})^\gamma{}_\nu\tag{3}\end{align*}
よって、クロネッカーのデルタは不変テンソルである。
計量テンソル
計量テンソル\(\eta^{\rho\gamma}\)は2階の反変テンソル、計量テンソル\(\eta^{\rho\gamma}\)は2階の共変テンソルであり、ローレンツ変換の下で次のように変換する。
\begin{align*}\eta’^{\mu\nu}&=\varLambda^\mu{}_\rho\varLambda^\nu{}_\gamma\eta^{\rho\gamma}\tag{4}\\\eta’_{\mu\nu}&=\eta_{\rho\gamma}(\varLambda^{-1})^\rho{}_\mu(\varLambda^{-1})^\gamma{}_\nu\tag{5}\end{align*}
一方、計量テンソル\(\eta^{\rho\gamma}\),\(\eta_{\rho\gamma}\)は次の関係
\begin{align*}\eta^{\rho\gamma}&=\eta^{\gamma\rho}=\left\{\begin{array}{c}+1\ \ \ (\rho=\gamma=0)\ \ \ \ \ \ \ \\-1\ \ \ (\rho=\gamma=1,2,3)\\0\ \ \ (\rho\neq\gamma)\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \end{array}\right.\tag{6}\\\eta_{\rho\gamma}&=\eta_{\gamma\rho}=\left\{\begin{array}{c}+1\ \ \ (\rho=\gamma=0)\ \ \ \ \ \ \ \\-1\ \ \ (\rho=\gamma=1,2,3)\\0\ \ \ (\rho\neq\gamma)\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \end{array}\right.\tag{7}\end{align*}
を満たす定数であり、ローレンツ変換された慣性系の計量テンソル\(\eta’^{\mu\nu}\),\(\eta’_{\mu\nu}\)は元の慣性系の計量テンソル\(\eta^{\rho\gamma}\),\(\eta_{\rho\gamma}\)と等しい。
\begin{align*}\eta^{\mu\nu}&=\varLambda^\mu{}_\rho\varLambda^\nu{}_\gamma\eta^{\rho\gamma}\tag{8}\\\eta_{\mu\nu}&=\eta_{\rho\gamma}(\varLambda^{-1})^\rho{}_\mu(\varLambda^{-1})^\gamma{}_\nu\tag{9}\end{align*}
よって、計量テンソルも不変テンソルである。
次ページから⋯
次ページでは、成分にエネルギーと運動量を持つエネルギー運動量ベクトルを調べ、エネルギー運動量ベクトルを用いるとアインシュタインの関係式をシンプルに記載できることを確かめる。
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