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本ページでは、ルジャンドル陪多項式\(P_{l}^m( x )\)の母関数表示
\begin{align*} G(P_{l}^{m}( x );t) &=\left(\frac{t}{2}\right)^{m} \frac{(2m)!}{m!}\left(\frac{\sqrt{1-x^2}}{1-2xt+t^{2}}\right)^{m}\frac{1}{\sqrt{1-2xt+t^{2}}}\tag{7}\end{align*}
と、ルジャンドル陪多項式を生成するロドリゲスの公式
\begin{align*}P^{m}_{l}(x)=\frac{1}{2^{l}l!}(1-x^2)^{\frac{m}{2}}\frac{\text{d}^{l+m}}{\text{d}x^{l+m}}(x^{2}-1)^{l} \tag{9}\end{align*}
を求める。
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前ページでは、ルジャンドルの陪微分方程式
\begin{align*}(1-x^{2})\frac{\text{d}^{2}}{\text{d}x^{2}}P^{m}_{l}(x)-2x\frac{\text{d}}{\text{d}x}P^{m}_{l}(x)+\left[ l(l+1)-\frac{m^{2}}{1-x^{2}}\right]P^{m}_{l}( x)=0\tag{1}\end{align*}
において、\(l\)が\(0\)以上の整数\(\{n\in\mathbb{Z}\mid n≧0\}\)で\(m\)が\(-l\)以上\(l\)以下の整数\(\{m\in\mathbb{Z}\mid l≧m≧-l\}\)のときの解であるルジャンドル陪多項式
\begin{align*} P^{m}_{l}(x)&=(1-x^2)^{\frac{m}{2}}\frac{\text{d}^{m}}{\text{d}x^{m}}P_{l}(x) \\&= (1-x^2)^{\frac{m}{2}}\sum ^{[\frac{l-m}{2}]}_{k=0}\frac{(-1)^{k}(2l-2k)!}{2^{l}k!(l-k)!(l-m-2k)!}x^{l-m-2k}\tag{2}\end{align*}
を求めた。
内容
母関数とは
母関数とは「数列の情報をすべて含んだ関数」のことであり、母関数が分かれば数列の一般項を求めることができる。逆もまた然り、数列の一般項から母関数を求めることができる。つまり、数列と母関数は一対一の関係となっている。
前回求めたルジャンドル陪多項式\(P_{l}^m( x )\)は、\(0\)以上の整数\(l\)を代入すると\(x\)に関する関数を返す数列であり、ルジャンドル陪多項式を母関数で表したものを用いるとルジャンドル陪多項式の直交性を簡単に調べることができる。
代表的な母関数の定義として通常型母関数\(G(a_{l};t)\)
\begin{align*}G(a_{l};t)=\sum ^{\infty}_{l=0}a_{l}t^{l}\tag{3}\end{align*}
や指数型母関数\(EG(a_{l};t)\)
\begin{align*}EG(a_{l};t)=\sum ^{\infty}_{l=0}a_{l}\frac{t^{l}}{l!}\tag{4}\end{align*}
がある。
母関数の導出
今回、ルジャンドル陪多項式(2)の通常型母関数\(G(a_{l};t)\)を求める。定義式(3)にルジャンドル陪多項式(2)を代入すると
\begin{align*}G(P_{l}^{m}( x );t)&=\sum ^{\infty}_{l=0}P_{l}^{m}( x )t^{l}\\&=\sum ^{\infty}_{l=0}(1-x^2)^{\frac{m}{2}}\frac{\text{d}^{m}}{\text{d}x^{m}}P_{l}(x)t^l\\&=(1-x^2)^{\frac{m}{2}}\frac{\text{d}^{m}}{\text{d}x^{m}}\sum ^{\infty}_{l=0}P_{l}(x) t^{l}\tag{5}\end{align*}
となる。ここで、前回求めたルジャンドル多項式の通常型母関数\(G(P_{l}(x);t)\)
\begin{align*}G(P_{l}( x );t)&=\sum ^{\infty}_{l=0}P_{l}( x )t^{l}\\&=\frac{1}{\sqrt{1-2xt+t^{2}}}\tag{6}\end{align*}
を式(5)に代入すると、
\begin{align*} G(P_{l}^{m}( x );t) &= \sum ^{\infty}_{l=0}P_{l}^{m}( x )t^{n} \\&= (1-x^2)^{\frac{m}{2}}\frac{\text{d}^{m}}{\text{d}x^{m}} \frac{1}{\sqrt{1-2xt+t^{2}}}\\&=(1-x^2)^{\frac{m}{2}}(2t)^{m} \frac{(2 m)!}{2^{m}2^{m}m!}\frac{1}{(1-2xt+t^{2})^{m+\frac{1}{2}}}\\&=\left(\frac{t}{2}\right)^{m} \frac{(2m)!}{m!}\left(\frac{\sqrt{1-x^2}}{1-2xt+t^{2}}\right)^{m}\frac{1}{\sqrt{1-2xt+t^{2}}}\tag{7}\end{align*}
と母関数表示が得られる。
式(7)の母関数表示では\(P_{l}^{m}( x )\)を\(l=0\)からの数列とみなしているが、\(l=0\)から\(l=m\)までは\(P_{l}^{m}( x )=0\)である。\(P_{l}^{m}( x )\)を\(l= m\)からの数列とみなして、次の式の一行目のような母関数の定義を考えると、
\begin{align*}G'(P_{l}^{m}( x );t)&=\sum ^{\infty}_{l=m}P_{l}^{m}( x )t^{l-m}\\&=\sum ^{\infty}_{l=0}P_{l}^{m}( x )t^{l-m}\\&=t^{- m}\sum ^{\infty}_{n=0}P_{l}^{m}( x )t^{l}\\&=\frac{(2m)!}{2^{m}m!}\left(\frac{\sqrt{1-x^2}}{1-2xt+t^{2}}\right)^{m}\frac{1}{\sqrt{1-2xt+t^{2}}} \tag{8}\end{align*}
となって母関数表示が少しスッキリする。二行目への変換は、\(l<m\)のときに\(P_{l}^{m}( x )\)は\(0\)となることを用いた。
ロドリゲスの公式のとは
ルジャンドル陪多項式(2)の母関数表示(7)を求めたが、ついでにロドリゲスの公式
\begin{align*}P^{m}_{l}(x)=\frac{1}{2^{l}l!}(1-x^2)^{\frac{m}{2}}\frac{\text{d}^{l+m}}{\text{d}x^{l+m}}(x^{2}-1)^{l} \tag{9}\end{align*}
も求める。
ロドリゲスの公式とはルジャンドル陪多項式を生成できる公式であり、他にもエルミート多項式やラゲール陪多項式を生成するロドリゲスの公式もある。
ロドリゲスの公式の導出
ロドリゲスの公式は、ルジャンドル陪多項式(2)
\begin{align*} P^{m}_{l}(x)&=(1-x^2)^{\frac{m}{2}}\frac{\text{d}^{ m}}{\text{d}x^{m}}P_{l}(x) \tag{2}\end{align*}
とルジャンドル多項式を生成するロドリゲスの公式
\begin{align*}P_{l}(x)=\frac{1}{2^{l}l!}\frac{\text{d}^{l}}{\text{d}x^{l}}(x^{2}-1)^{l}\tag{10}\end{align*}
から求めることができる。ルジャンドル陪多項式(2)に式(10)を代入すると、
\begin{align*}P^{m}_{l}(x)&=(1-x^2)^{\frac{m}{2}}\frac{\text{d}^{ m}}{\text{d}x^{m}}\left(\frac{1}{2^{l}l!}\frac{\text{d}^{l}}{\text{d}x^{l}}(x^{2}-1)^{l}\right)\\&=\frac{1}{2^{l}l!}(1-x^2)^{\frac{m}{2}}\frac{\text{d}^{l+m}}{\text{d}x^{l+ m}}(x^{2}-1)^{l}\tag{9}\end{align*}
となり、ロドリゲスの公式が求められる。
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次ページでは、ルジャンドル陪多項式の直交関係を求める。
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