正準量子化

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本ページでは…

 本ページでは、ハミルトン力学のポアソン括弧

\begin{align}\left\{q_i,p_j\right\}&=\delta_{ij}\\\left\{q_i,q_j\right\}&=\left\{p_i,p_j\right\}=0\end{align}

と量子力学の正準交換関係

\begin{align} [\hat q _i,\ \hat p_j]&=i\hbar\delta_{ij}\\ [\hat q_i,\ \hat q_j]&=[\hat p_i,\ \hat p_j]=0\end{align}

との類似性を確認し、ポアソン括弧の正準交換関係への置換えを原理とする正準量子化について調べていく。

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前ページまで

前ページでは、位置演算子\(\hat q_i\)

\begin{align*}\hat q_i=q_i\tag{1}\end{align*}

と運度量演算子\(\hat p_i\)

\begin{align*}\hat p_i=-i\hbar \frac{\partial }{\partial q_i}\tag{2}\end{align*}

とが満たす交換関係である正準交換関係

\begin{align*}[q_i,p_j]=i\hbar\delta_{ij}\tag{3}\end{align*}

とそれに関連する交換関係

\begin{align}\left[q_i,q_j\right]&=\left[p_i,p_j\right]=0\tag{4}\end{align}

を求めた。

ポアソン括弧に関してはこのページを参照。

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内容

正準量子化とは

 ディラックはハミルトン力学のポアソン括弧

\begin{align}\left\{q_i,p_j\right\}&=\delta_{ij}\tag{5}\\\left\{q_i,q_j\right\}&=\left\{p_i,p_j\right\}=0\tag{6}\end{align}

と量子力学の正準交換関係

\begin{align} [\hat{q_i},\ \hat{p_j}]&=i\hbar\delta_{ij}\tag{3}\\ [\hat{q_i},\ \hat{q_j}]&=[\hat{p_i},\ \hat{p_j}]=0\tag{4}\end{align}

に類似点があり、次の対応関係

\begin{align}[\hat{A},\ \hat{B}]=i\hbar\left\{A,B\right\}\tag{7}\end{align}

があることに気付いた。そこで、この対応関係を原理とすることによって、古典力学を量子力学に翻訳することが可能である。この方法を正準量子化とよぶ。

正準量子化の方法

 翻訳の具体的な方法は次の通りである。

①古典的力学量\(Q\)を、ポアソン括弧\(\left\{q_i,p_j\right\}=\delta_{ij}\)を満たす正準変数\((q_i,p_i)\)である一般化座標\(q_i\)と一般化運動量\(p_i\)を用いて記述する。

②正準交換関係\([\hat q_i,\hat p_j]=i\hbar\delta_{ij}\)を満たす演算子\((\hat{q_i},\hat{p_i})\)を定義する。

③古典的力学量\(Q(q_i,p_i)\)の正準変数\((q_i,p_i)\)を、②で定義した演算子\((\hat{q_i},\hat{p_i})\)に置き換える。この操作によって、古典的力学量 \(Q(q_i,p_i)\) の量子力学的対応演算子 \(\hat{Q}(\hat{q_i},\hat{p_i})\) を定める。

ハイゼンベルク方程式の導出

 時間に陽に依存しない物理量\(Q\)の時間微分をポアソン括弧を用いて表すと

\begin{align}\frac{\text{d}Q}{\text{d}t}=\left\{Q,H\right\}\tag{8}\end{align}

となるが、この式に正準量子化を適用すると

\begin{align}\frac{\text{d}\hat{Q}}{\text{d}t}&=\frac{1}{i\hbar}[\hat{Q},\hat{H}]\\\rightarrow i\hbar\frac{\text{d}\hat{Q}}{\text{d}t}&=[\hat{Q},\hat{H}]\tag{9}\end{align}

が得られるが、これがハイゼンベルク方程式である。


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