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本ページでは、ある系の状態\(\varPsi\)において、古典物理量\(F\)の測定を何度も行なって得られる測定値の平均値を期待値\(〈F〉\)といい、波動関数と演算子\(\hat F\)を用いて
と表されることを確認する。
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前ページでは、系の状態\(\varPsi\)が古典物理量の演算子\(\hat F\)に対応する固有関数\(\psi_i\)の一次結合
で表されたとき、古典物理量\(F\)の測定を行なってある固有値が測定値となる確率は、その固有値に対応する固有関数\(\psi_i\)の展開係数の2乗\(\vert c_i\vert^2\)になることを確認した。
内容
期待値について
ある系の状態\(\varPsi\)において、古典物理量\(F\)の測定を何度も行なって得られる測定値の平均値を期待値といい、記号\(〈〉\)を用いて期待値を\(〈F〉\)と表す。期待値\(〈F〉\)は、波動関数と演算子\(\hat F\)を用いて
と表される。
期待値の証明
期待値を表す式(1)の証明を行なう。初めに、系の状態\(\varPsi\)が\(\hat F\)の固有関数\(\psi_i\)の一次結合
で表されるとき、測定値\(f_i\)を得る確率は展開係数の2乗\(\vert c_i\vert^2\)になるため、平均値である期待値は
と表される。次に、式(2)の両辺に演算子\(\hat F\)を作用させると\(\hat F\psi_i=f_i\psi_i\)より
が得られるため、式(1)の右辺を計算すると
となり、式(3)より期待値の式
が得られる。
次ページから…
次ページでは、ある系の状態\(\varPsi\)において、古典物理量\(F\),\(G\)の演算子\(\hat F\),\(\hat G\)が可換で、縮重状態ではないとき、演算子\(\hat F\),\(\hat G\)に共通の固有関数である同時固有関数が存在すること、またその逆が成り立つことを確認する。