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本ページでは、有限の深さの井戸型ポテンシャル
における時間に依存しないシュレーディンガー方程式
を導き、井戸の外で\(E\text{<}V\)となる束縛状態と\(V\text{<}E\)となる散乱状態が存在することを確認する。
前ページまで⋯
前ページでは、自由粒子における時間に依存しないシュレーディンガー方程式
を周期的境界条件の下で解き、波動関数\(\psi_k\)
とエネルギー準位\(E\)
を求めた。
内容
有限の深さの井戸型ポテンシャル
有限の深さの井戸型ポテンシャルとは、井戸の左端を\(x=-\frac{a}{2}\)、井戸の右端を\(x=\frac{a}{2}\)として、井戸の長さが\(a\)であり、井戸の中ではポテンシャルエネルギー\(V\)はゼロ、井戸の外ではポテンシャルエネルギー\(V\)が有限の値\(V_1\)となっているポテンシャルをいう。
有限の深さの井戸型ポテンシャルにおいて、自由粒子が存在するときにエネルギー\(E\)の固有関数\(\varPsi_n\)を求めてみる。もし、系の状態\(\varPsi\)を求めたいときは、エネルギー固有関数の一次結合で表すことができる。
今回、ハミルトニアンは
であり、運動量\(p_x\)を運動量演算子\(-i\hbar\frac{d}{dx}\)に置き換えるとハミルトン演算子\(\hat H\)は
となる。今回のハミルトニアンは時間に依存しないため、エネルギー固有関数\(\varPsi_n\)は以前のページより
であり、波動関数\(\psi_n\)の形は時間に依存しないシュレーディンガー
を解けば求めることができる。式(8)の具体的な形は
であり、以後、解きやすいように
と変形しておく。
井戸の中では常に\(V\text{<}E\)だが、井戸の外では\(E\text{<}V\)の時と\(V\text{<}E\)の時があり、前者の時を束縛状態、後者の時を散乱状態という。
次ページから⋯
次ページでは、有限の深さの井戸型ポテンシャルにおける束縛状態\(E\text{<}V_1\)において、時間に依存しないシュレーディンガー方程式から波動関数の形を求め、トンネル効果と呼ばれる現象が見られることを確認する。
また、波動関数の形は、最低エネルギー準位から偶関数、奇関数、偶関数⋯となり、エネルギー準位の数\(N\)が満たす関係式を求める。
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