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本ページでは、系の状態\(\varPsi\)が古典物理量の演算子\(\hat F\)に対応する固有関数\(\psi_i\)の一次結合
で表されたとき、古典物理量\(F\)の測定を行なってある固有値が測定値となる確率は、その固有値に対応する固有関数\(\psi_i\)の展開係数の2乗\(\vert c_i\vert^2\)になることを確認する。
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前ページでは、完全性とはどのような関数でもある古典物理量の演算子\(\hat F\)に対応する固有関数系\(\{\psi_i\}\)の一次結合で表すことができる性質であり、固有関数系が完全性をもつことを証明した。
内容
測定値について
系の状態\(\varPsi\)は古典物理量の演算子\(\hat F\)に対応する固有関数\(\psi_i\)の一次結合
で表すことができ、古典物理量\(F\)の測定を行なうと測定値として演算子\(\hat F\)の固有値の1つが得られる。ただし、このとき、どの固有値が測定値として得られるかは予測することができず、測定を何度も繰り返すことによって、ある固有値が得られる確率を知ることしかできない。
ある測定値が得られる確率
系の状態\(\varPsi\)が規格化されているとき
となることが分かる。
※※※式(2)において、2つ目の等号では式(1)を代入し、4つ目の等号では規格直交関係
を用いた。※※※
ここで、もし、系の状態\(\varPsi\)が\(i\)番目の固有状態\(\psi_i\)だとすると、系の状態\(\varPsi_i\)は
と表すことができ、\(c_i\)以外の展開係数\(c_j\)はゼロになるため式(2)は
となる。よって、測定をした時にある固有値が必ず測定値として得られるとき、その固有値に対応する固有関数\(\psi_i\)の展開係数の2乗\(\vert c_i\vert^2\)は\(1\)となる。
また、もし、系の状態\(\varPsi\)に\(i\)番目の固有状態\(\psi_i\)が含まれない時、その固有関数\(\psi_i\)の展開係数\(c_i\)はゼロとなる。つまり、測定をした時にある固有値が必ず測定値として得られないとき、その固有値に対応する固有関数\(\psi_i\)の展開係数の2乗\(\vert c_i\vert^2\)は\(0\)となる。
これらのことから、「測定をした時、ある固有値が測定値となる確率は、その固有値に対応する固有関数の展開係数の2乗\(\vert c_i\vert^2\)になる」と考えられる。式(2)をもう一度眺めると、全ての固有関数の展開係数の2乗\(\vert c_i\vert\)の和が\(1\)となっており、測定される確率と捉えることは妥当であると考えられる。
次ページから…
次ページでは、ある系の状態\(\varPsi\)において、古典物理量\(F\)の測定を何度も行なって得られる測定値の平均値を期待値\(〈F〉\)といい、波動関数と演算子\(\hat F\)を用いて
と表されることを確認する。