世界線における運動方程式

スポンサーリンク

HOME弦理論弦の作用> 世界線における運動方程式


前ページ】           【次ページ


スポンサーリンク

本ページでは…

 本ページでは、世界線を描く粒子の相対論的作用\(S\)から、相対論的な運動方程式を導く。

スポンサーリンク

前ページまで⋯

 前々ページでは、世界線を導く相対論的な作用\(S\)

\begin{align*}S=-mc\int ds\tag{1}\end{align*}

を求め、前ページでは作用\(S\)がパラメーター付け替え不変性を持つことを見た。

スポンサーリンク

内容

 世界線における作用の変分

\begin{align*}\delta S=-mc\int \delta(ds)\tag{2}\end{align*}

から、世界線を描く粒子の運動方程式を求めてみる。

 はじめに、世界距離\(ds\)が

\begin{align*}ds&=\sqrt{\eta_{\mu\nu}dx^\mu dx^\nu}\tag{3}\end{align*}

と表されることを用いる。世界距離の二乗\((ds)^2\)は

\begin{align*}(ds)^2&=\eta_{\mu\nu}dx^\mu dx^\nu\tag{4}\end{align*}

となり、この式の変分をとると、

\begin{align*}2ds\delta(ds)&=\eta_{\mu\nu}\delta(dx^\mu) dx^\nu+\eta_{\mu\nu}dx^\mu\delta(dx^\nu)\\&=2\eta_{\mu\nu}\delta(dx^\mu) dx^\nu\tag{5}\end{align*}

となる。

※※※2行目への変形では、ミンコフスキー計量\(\eta_{\mu\nu}\)が対称性\(\eta_{\mu\nu}=\eta_{\nu\mu}\)を持つことを用いた。※※※

次に、式(5)の両辺を\(2ds\)で割って変形を進めると

\begin{align*}2ds\delta(ds)&=2\eta_{\mu\nu}d(\delta x^\mu) dx^\nu\\\rightarrow \delta(ds)&=\eta_{\mu\nu}d(\delta x^\mu) \frac{dx^\nu}{ds}\\\rightarrow \delta(ds)&=\eta_{\mu\nu}\frac{d(\delta x^\mu)}{d\tau}\frac{dx^\nu}{ds}d\tau\\&=\frac{d(\delta x^\mu)}{d\tau}\frac{dx_\mu}{ds}d\tau\tag{6}\end{align*}

と表せる。

※※※3行目への変形では\(x^\mu\)が\(\tau\)によってパラメーター付けされていることを用い、4行目への変形ではミンコフスキー計量\(\eta_{\mu\nu}\)を\(x^\nu\)添字下げで用いた。※※※

式(6)を式(2)に代入すると

\begin{align*}\delta S=-mc\int \frac{d(\delta x^\mu)}{d\tau}\frac{dx_\mu}{ds}d\tau\tag{7}\end{align*}

となり、4元運動量

\begin{align*}mc\frac{dx_\mu}{ds}=&m\frac{dx_\mu}{ds/c}\\&=p_\mu\tag{8}\end{align*}

を用いると、

\begin{align*}\delta S&=-\int \frac{d(\delta x^\mu)}{d\tau}p_\mu d\tau\tag{9} \end{align*}

となる。最後に部分積分を行なうと、次の式

\begin{align*}\delta S&=-\big[\delta x^\mu p_\mu\big]^{\tau_f}_{\tau_i}+\int d\tau\frac{dp_\mu}{d\tau}\delta x^\mu\\&=\int d\tau\frac{dp_\mu}{d\tau}\delta x^\mu\tag{10}\end{align*}

が得られる。

※※※2行目への変形では、世界線を作る粒子の軌道が変わっても始状態\(\tau_i\)と終状態\(\tau_f\)の粒子座標は変わらないこと(\(\delta x^\mu=0\))を用いた。※※※

運動方程式を求める際に、どのような\(\delta x^\mu\)でも次の条件

\begin{align*}\delta S=0\tag{11}\end{align*}

を満たさないといけない。この条件を満たすには、

\begin{align*}\frac{dp_\mu}{d\tau}=0\tag{12}\end{align*}

でなければならず、これが世界線を描く粒子の運動方程式である。この式より、世界線を描く粒子の運動量\(p_\mu\)はパラメーター\(\tau\)の付け方によらず、一定であることが分かる。

運動方程式(13)のパラメーター\(\tau\)として世界距離\(s\)を選択すると、運動方程式は

\begin{align*}\frac{dp_\mu}{ds}=0\tag{13}\end{align*}

となり、4元運動量の式(8)を代入すると次の運動方程式

\begin{align*}\frac{d^2x_\mu}{ds^2}=0\tag{14}\end{align*}

が得られる。この式から、\(\frac{dx_\mu}{ds}\)が一定であることわかり、世界距離\(s\)当たりの座標\(x^\mu\)の変化量は世界線上のどの位置でも変わらないことを示す。一方、\(\frac{dx^\mu}{d\tau}\)は一定にはならず、パラメーター\(\tau\)当たりの座標\(x^\mu\)の変化量はパラメーター\(\tau\)の付け方によって異なる。


前ページ】           【次ページ

HOME弦理論弦の作用> 世界線における運動方程式