本ページでは…
本ページでは、世界面を導く相対論的な作用\(S\)が
となって、\(\frac{T_{\scriptsize 0}}{c}\)に固有面積\(\frac{\int ds}{c}\)を掛けて負号をつけた形になることを確認する。
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3つ前のページでは、世界線を導く相対論的な作用\(S\)
または、
を求め、前々ページでは作用\(S\)がパラメーター付け替え不変性を持つことを見た。
内容
\(1\)次元である弦が時空上を動く時、弦が辿った軌跡は世界面と呼ばれる2次元の面となる。世界線と同様に世界面も作用\(S\)
から導かれる。
初めに、弦が空間で静止している状況を考える。このとき、観測者は弦と同じ慣性系にいる。一般的に弦の質量は\(0\)だが、張力\(T_{\scriptsize 0}\)がかかっているとき、無限小弦素片\(da\)の静止エネルギーは\(T_{\scriptsize 0}da\)となり、弦全体の静止エネルギーは\(T_{\scriptsize 0}\int da\)となる(変数\(a\)は弦に付けられたパラメーターではなく、弦の実際の長さである)。
空間で静止している弦の世界面は、無限小弦素片の世界線が集まったものと考えられる。そして、世界線の作用は式(1)のように静止エネルギーに相対論因子\(\sqrt{1-\frac{\boldsymbol v^2}{c^2}}\)を掛けて負号をつけたものを時間積分した形なので、空間で静止している無限小弦素片の世界線の作用は
となり、世界面の作用は
となる。\(cdt\)と\(da\)の次元は距離であり、\(da\)はある時刻の空間内方向の弦の長さであるため、\(cdt\)と\(da\)の積は世界面の微小面積を表す。よって、式\((5)\)より世界面の作用は微小面積\(dA\)に\(-\frac{T_{\scriptsize 0}}{c}\)を掛けて全面積で積分したものになる。
次ページ以降で分かるが、ここでの微小面積\(cdtda\)はローレンツ不変な値であり、世界面の作用に現れる微小面積\(\int dA\)もローレンツ不変な値である。そのため、固有面積と呼ばれる。