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カディオ-ホトキェヴィチカップリングとは
カディオ-ホトキェヴィチカップリングとは、アミン塩基存在下で臭化銅(I)などの第一銅塩を触媒として、末端アルキンR-C三C-Hとハロゲン化アルキンR’-C三C-XからジインR-C三C-C三C-R’を得るホモカップリング反応であり、1957年にホトキェヴィチらによって発見された(i)(ii)。
グレーサーカップリングで二種類の末端アルキンを用いると、選択的に反応が進行せずホモカップリング体とクロスカップリング体の混合物となるが、カディオ・ホトキェヴィチカップリングで末端アルキンとハロゲン化アルキンを用いると、クロスカップリング体のみが得られる。
反応機構
①銅アセチリドの生成
初めに、塩基が末端アルキンR-C三C-Hのプロトンを引き抜き、銅(I)イオンに配位して銅アセチリドR-C三C-Cuが生成する。
②酸化的付加
銅アセチリドが配位した銅イオンにハロゲン化アルキルR-C三C-Xが酸化的付加する。
③還元的脱離
ジインR-C三C-C三C-R’が還元的脱離しながら、炭素-炭素共有結合が形成され、クロスカップリング反応が完了する。
副反応
酸素などの酸化剤が系内に存在しているとグレーサーカップリングが進行し、アルキンのホモカップリング体が生成する
適用範囲
末端アルキンR-C三C-H
塩基にある程度耐えられる基質であれば用いることができるため、基質の適用範囲は広い。
ハロゲン化アルキンR’-C三C-X
塩基にある程度耐えられる基質であれば用いることができるため、基質の適用範囲は広い。
1価の銅塩
ヨウ化銅(I)や臭化銅(I)、塩化銅(I)などが用いられる。
塩基
トリエチルアミンやピリジンなどの有機アミンに加え、炭酸カリウムや水酸化カリウムなども用いられる。
溶媒
一般的に水、アルコールが用いられるが、ピリジンやTHF-水系でも行なうことができる。
反応条件
特に脱水環境で行なう必要はない。一方、酸素が存在するとグレーサーカップリングが起きるため、脱気条件が良い。
実験手順
反応例
4-エチニルアニソールとブロモエチニルベンゼンを反応させると、1-(p-メトキシフェニル)-4-フェニル-1,3-ブタジインが得られる(iii)。
関連反応
参考文献
(i) Chodkiewicz, W. Ann. Chim. Paris 1957, 2, 819-869.
(ii) Cadiot, P.; Chodkiewicz, W. In Chemistry of Acetylenes; Viehe, H. G., Ed.; Marcel Dekker: New York, 1969, 597-647.
(iii) Wang, S.; Yu, L.; Li, P.; Meng, L.; Wang, L. Synthesis, 2011, 1541-1546.
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