エーテル

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本ページでは…

 本ページでは、19世紀の電磁気学で重要な役割を果たした「エーテル」の概念について解説する。マクスウェル方程式とガリレイ変換の不整合から、なぜ電磁波の媒質が必要と考えられたのかを整理し、エーテル風という発想がどのように生まれたのかを詳しく見ていく。さらに、光速度測定によってエーテルの存在を検証しようとした歴史的背景にも触れ、後の相対性理論へつながる問題意識を明らかにする。

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前ページでは、ローレンツ力のガリレイ変換を詳細に検討し、電場と磁場の変換の仮定によって式の不変性がどのように変化するかを明らかにした。ローレンツ力の式は、電場と磁場が荷電粒子に及ぼす力を記述する基本法則であるが、そのガリレイ変換を調べると、電場・磁場の変換則に関する重要な問題が浮かび上がった。さらに、その結果がヘルツ方程式との整合性にどのような制約を与えるのかを考察し、古典電磁気学とガリレイ変換の根本的な不整合に迫った。

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内容

ヘルツ方程式の問題点

 マクスウェル方程式には電磁波の媒質の情報が含まれていないため、ガリレイ変換の下で不変でなかった。一方、電磁波の媒質の速度\(\boldsymbol v_0\)を含めたヘルツ方程式では、ガリレイ変換の下で電場\(\boldsymbol E\)と磁場\(\boldsymbol B\)が不変であると仮定すると方程式の形も不変であった。

 しかし、ヘルツ方程式には2つの問題があった。1つは、ローレンツ力の式がガリレイ変換の下で不変となるためには電場\(\boldsymbol E\)と磁場\(\boldsymbol B\)もガリレイ変換の下で変換される必要があるが、そうするとヘルツ方程式はガリレイ変換の下で不変とならなかった。もう1つは、電磁波の媒質の解釈である。

エーテル

 電磁波は真空中でも伝播するため、電磁波に媒質は存在しないように思われる。しかし、マクスウェル方程式やヘルツ方程式が提唱された当初は、ガリレイ変換が正しいと考えられていたため、電磁波も何らかの媒質に対して伝播すると考えられた。その結果、ガリレイ変換の下で不変となるような記述を実現するため、仮想的な媒質が導入され、この媒質はエーテルと呼ばれた。

 電磁波が従う媒質としてエーテルが仮定されたものの、その正体については当時まったく見当がついていなかった。しかし、仮にエーテルが空間に静止して存在し、その中を地球が運動しているとすれば、地球上の観測者から見てエーテルが流れているかのように見える。この見かけの流れはエーテル風と呼ばれる。

 エーテル風が存在する場合、光はエーテルに対して一定の速度で伝播するため、地球上で観測される光の速度は、進行方向とエーテル風の向きとの関係によって変化するはずである。すなわち、エーテル風に向かう方向では遅く、同じ向きに進む場合には速く観測されると考えられる。したがって、異なる方向における光の速度や伝播時間を精密に比較することで、エーテル風の存在、ひいてはエーテルの存在を実験的に検証できると期待された。

 次ページでは、異なる方向における光の速度の差を精密に測定するマイケルソン=モーリーの実験について述べる。

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