ニュートンの運動方程式のガリレイ変換

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本ページでは…

 本ページでは、ニュートンの運動方程式がガリレイ変換の下でどのように振る舞うかを詳しく検証する。特に、媒質が存在しない場合と存在する場合に分けて、方程式の形が不変に保たれることを具体的に示す。また、媒質の静止系を基準にした記述において一見不変性が破れるように見える理由を明確にし、物理法則の記述における自由度の扱いについても整理する。

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 前ページでは、異なる慣性系の間で座標や時間がどのように関係づけられるかを表す「ガリレイ変換」を導出し、その物理的意味を解説した。また、ガリレイ変換で速度や加速度、さらには微分演算子がどのように変換されるかを確認した。

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内容

ニュートンの運動方程式のガリレイ変換

 ニュートンの運動方程式はガリレイ変換の下で不変である。このことを、媒質が存在しないときと存在するときに分けて確かめる。

媒質が存在しないとき

 媒質が存在しないとき、ニュートンの運動方程式がガリレイ変換の下で不変であることを確かめる。

 媒質が存在しないとき、力\(\boldsymbol F\)は重力や電磁力のようにその源との距離のみに依存する力に限られ、源の位置を\(\boldsymbol x_0\)とすると力は\(\boldsymbol F(\vert \boldsymbol x-\boldsymbol x_0\vert)\)と表される。

 慣性系\(S(\boldsymbol x,t)\)におけるニュートンの運動方程式

\begin{align*}\boldsymbol F(\vert \boldsymbol x-\boldsymbol x_0\vert)&=m\boldsymbol a\tag{1}\end{align*}

において、速度\(\boldsymbol V\)で移動する慣性系\(S'(\boldsymbol x’,t’)\)へのガリレイ変換は座標\(\boldsymbol x\),\(\boldsymbol x_0\)と加速度\(\boldsymbol a\)を

\begin{align*}\boldsymbol x&=\boldsymbol x’+\boldsymbol Vt’\tag{2}\\\boldsymbol x_0&=\boldsymbol x’_0+\boldsymbol Vt’\tag{3}\\\boldsymbol a&=\boldsymbol a’\tag{4}\end{align*}

と置き換えればよいため(前ページを参照)、ガリレイ変換後のニュートンの運動方程式は

\begin{align*}\boldsymbol F(\vert \boldsymbol x’-\boldsymbol x_0’\vert)&=m\boldsymbol a’\tag{5}\end{align*}

となってガリレイ変換前のニュートンの運動方程式の形と等しくなる。つまり、媒質が存在しないとき、ニュートンの運動方程式はガリレイ変換で結ばれたすべての慣性系で同じ形となる。

媒質が存在するとき

 媒質が存在するとき、ニュートンの運動方程式がガリレイ変換の下で不変であることを確かめる。

 媒質が存在するとき、力\(\boldsymbol F\)は抵抗力や粘性力のように媒質に対する相対速度に依存し、媒質の速度を\(\boldsymbol v_0\)とすると力は\(\boldsymbol F(\boldsymbol v-\boldsymbol v_0)\)と表される。

 慣性系\(S(\boldsymbol x,t)\)におけるニュートンの運動方程式

\begin{align*}\boldsymbol F(\boldsymbol v-\boldsymbol v_0)&=m\boldsymbol a\tag{6}\end{align*}

において、速度\(\boldsymbol V\)で移動する慣性系\(S'(\boldsymbol x’,t’)\)へのガリレイ変換は速度\(\boldsymbol v\),\(\boldsymbol v_0\)と加速度\(\boldsymbol a\)を

\begin{align*}\boldsymbol v&=\boldsymbol v’+\boldsymbol V\tag{7}\\\boldsymbol v_0&=\boldsymbol v’_0+\boldsymbol V\tag{8}\\\boldsymbol a&=\boldsymbol a’\tag{4}\end{align*}

と置き換えればよいため(前ページを参照)、ガリレイ変換後のニュートンの運動方程式は

\begin{align*}\boldsymbol F(\boldsymbol v’- \boldsymbol v’_0)&=m\boldsymbol a’\tag{9}\end{align*}

となってガリレイ変換前のニュートンの運動方程式の形と等しくなる。つまり、媒質が存在するときも、ニュートンの運動方程式はガリレイ変換で結ばれたすべての慣性系で同じ形となる。

媒質の静止系

 ここで、媒質が存在する系での注意点を述べる。

 媒質が存在する系では、「媒質の静止系」と「媒質が運動する慣性系」の2つが存在し、先ほどは「媒質が速度\(\boldsymbol v_0\)で運動する慣性系\(S\)」から「媒質が速度\(\boldsymbol v_0’\)で運動する慣性系\(S’\)」へのガリレイ変換を見た。

 一方で、「媒質の静止系\(S\)」から「媒質が速度\(\boldsymbol v_0’\)で運動する慣性系\(S’\)」へのガリレイ変換では問題が生じる。「媒質の静止系\(S\)」において媒質の速度を\(\boldsymbol v_0=0\)と固定し、その結果として力\(\boldsymbol F\)の表式から媒質の速度\(\boldsymbol v_0\)を消去した形

\begin{align*}\boldsymbol F(\boldsymbol v)&=m\boldsymbol a\tag{10}\end{align*}

を出発点とすると、本来は同時にガリレイ変換されるべき媒質の速度\(\boldsymbol v_0\)が式に含まれていないため、ガリレイ変換後の慣性系\(S’\)における式は

\begin{align*}\boldsymbol F(\boldsymbol v’+\boldsymbol V)&=m\boldsymbol a’\tag{11}\end{align*}

となって元の式と同じ形を保てない。

 以上より、媒質の静止系\(S\)からガリレイ変換すると不変性が見かけ上は破れたように見えるが、これは、媒質の速度\(\boldsymbol v_0\)という自由度をあらかじめ消去した記述を用いたことに起因するものであり、媒質の速度\(\boldsymbol v_0\)を含めた完全な形で記述すれば、ガリレイ変換の下で方程式の形は保たれる。実際に、ガリレイ変換後の慣性系\(S’\)において、媒質の速度\(v_0’\)は

\begin{align*}\boldsymbol v_0’=-\boldsymbol V\tag{12}\end{align*}

であるため、式(11)は

\begin{align*}\boldsymbol F(\boldsymbol v’-\boldsymbol v’_0)&=m\boldsymbol a’\tag{9}\end{align*}

となって、「媒質が速度\(\boldsymbol v_0\)で運動する慣性系\(S\)」からガリレイ変換した式(9)と等しくなる。また、この式から「媒質な静止系\(S\)」へガリレイ変換すると

\begin{align*}\boldsymbol F(\boldsymbol v-\boldsymbol v_0)&=m\boldsymbol a\tag{6}\end{align*}

となるはずであり、媒質の速度\(\boldsymbol v_0\)を含めた完全な形に戻すことができる。

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