ガリレイ変換

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本ページでは…

 本ページでは、異なる慣性系の間で座標や時間がどのように関係づけられるかを表す「ガリレイ変換」を導出し、その物理的意味を解説する。また、ガリレイ変換で速度や加速度、さらには微分演算子がどのように変換されるかを確認する。

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前ページまで⋯

前ページでは、ニュートン力学における時間と空間の基本概念である「絶対時間」と「絶対空間」について解説した。これらはすべての観測者に共通であると仮定されており、古典力学やガリレイ変換の基礎となる重要な前提であった。また、この前提のもとで成立する同時性の概念についても整理した。

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内容

ガリレイ変換とは

 はじめに、慣性系\(S(x,y,z,t)\)と慣性系\(S'(x’,y’,z’,t’)\)が同一の状態にあり、座標が一致している、すなわち

\begin{align*}x’&=x\\y’&=y\\z’&=z\\t’&=t\end{align*}

であるとする。

 次に、慣性系\(S(x,y,z,t)\)に対して、慣性系\(S'(x’,y’,z’,t’)\)が\(x\)軸方向に速度\(V\)で等速運動するとする。このとき、運動は\(x\)方向のみに限られるため\(y’=y\),\(z’=z\)が成り立つ。また、時刻\(t\)において慣性系\(S\)の原点は慣性系\(S’\)から見ると位置\(x’=-Vt\)にあるため、慣性系\(S\)における位置\(x\)は慣性系\(S’\)から見ると位置\(x’=x-Vt\)に対応する。さらに、ニュートン力学では時間は全ての慣性系で共通(絶対時間)のため、\(t’=t\)が成り立つ(前ページを参照)。以上をまとめると、時刻\(t\)における慣性系\(S\)から慣性系\(S’\)への変換は

\begin{align*}x’&=x-Vt\tag{1}\\y’&=y\tag{2}\\z’&=z\tag{3}\\t’&=t\tag{4}\end{align*}

で与えられる。この変換をガリレイ変換という。

ガリレイの相対性原理

 すべての慣性系において同一の物理法則が成り立つという原理を相対性原理という。特に、ガリレイ変換で結ばれるすべての慣性系において、物理法則の形が不変であるとする原理をガリレイの相対性原理という。実際に次ページで確認するが、ニュートンの運動方程式はこの変換のもとで形を変えない。

絶対空間と相対空間

前ページで述べたように、ニュートン力学では絶対時間と絶対空間が前提とされていた。しかし、ガリレイの相対性原理を認めると、すべての慣性系において力学法則は同一であり、等速運動している観測者同士を力学的な実験によって区別することはできない。

 例えば、等速直線運動する船の内部で行う実験は、静止している場合と全く同じ結果を与える。このことは、絶対空間のような「静止の基準」が物理的には観測できないことを示している。

 したがって、空間は観測者ごとの座標系として相対的に定まるものと考えることができ、この立場を相対空間という。一方で、時間は依然としてすべての観測者で共通であり、同時性も共有される。すなわち、ガリレイの相対性原理のもとでは絶対時間と相対空間、同時性の絶対性が成立する。

速度のガリレイ変換

 式(1)〜(3)を時間微分すると、

\begin{align*}v_x’&=v_x-V\tag{5}\\v_y’&=v_y\tag{6}\\v_z’&=v_z\tag{7}\end{align*}

となり、式(5)を変形すると

\begin{align*}v_x&=v_x’+V\tag{8}\end{align*}

となってガリレイ変換において速度合成則は単純な足し算で表せることがわかる。

加速度のガリレイ変換

 式(5)〜(7)を時間微分すると、

\begin{align*}a_x’&=a_x\tag{9}\\a_y’&=a_y\tag{10}\\a_z’&=a_z\tag{11}\end{align*}

となってガリレイ変換において加速度は不変であることがわかる。

微分演算子のガリレイ変換

 連鎖律を用いると微分演算子のガリレイ変換は

\begin{align*}\frac{\partial}{\partial x’}&=\frac{\partial}{\partial x}\tag{12}\\\frac{\partial}{\partial y’}&=\frac{\partial}{\partial y}\tag{13}\\\frac{\partial}{\partial z’}&=\frac{\partial}{\partial z}\tag{14}\\\frac{\partial}{\partial t’}&=\frac{\partial}{\partial t}+V\frac{\partial}{\partial x}\tag{15}\end{align*}

\begin{align*}\frac{\partial}{\partial x’}&=\frac{\partial x}{\partial x’}\frac{\partial}{\partial x}+\frac{\partial y}{\partial x’}\frac{\partial}{\partial y}+\frac{\partial z}{\partial x’}\frac{\partial}{\partial z}+\frac{\partial t}{\partial x’}\frac{\partial}{\partial t}\\&=\frac{\partial}{\partial x}\\\frac{\partial}{\partial y’}&=\frac{\partial x}{\partial y’}\frac{\partial}{\partial x}+\frac{\partial y}{\partial y’}\frac{\partial}{\partial y}+\frac{\partial z}{\partial y’}\frac{\partial}{\partial z}+\frac{\partial t}{\partial y’}\frac{\partial}{\partial t}\\&=\frac{\partial}{\partial y}\\\frac{\partial}{\partial z’}&=\frac{\partial x}{\partial z’}\frac{\partial}{\partial x}+\frac{\partial y}{\partial z’}\frac{\partial}{\partial y}+\frac{\partial z}{\partial z’}\frac{\partial}{\partial z}+\frac{\partial t}{\partial z’}\frac{\partial}{\partial t}\\&=\frac{\partial}{\partial z}\\\frac{\partial}{\partial t’}&=\frac{\partial x}{\partial t’}\frac{\partial}{\partial x}+\frac{\partial y}{\partial t’}\frac{\partial}{\partial y}+\frac{\partial z}{\partial t’}\frac{\partial}{\partial z}+\frac{\partial t}{\partial t’}\frac{\partial}{\partial t}\\&=V\frac{\partial}{\partial x}+\frac{\partial}{\partial t}\end{align*}

となる。

ガリレイ変換の一般化

 先ほどは、慣性系\(S’\)が慣性系\(S\)に対して\(x\)軸方向に速度\(V\)で移動する場合を考えたが、ここでは慣性系\(S’\)が慣性系\(S\)に対して速度ベクトル\(\boldsymbol{V}\)で移動する場合を考え、ガリレイ変換を一般化する。

 このとき、時刻\(t\)における慣性系\(S\)から慣性系\(S’\)への変換は

\begin{align*}\boldsymbol x’&=\boldsymbol x-\boldsymbol Vt\tag{16}\\t’&=t\tag{17}\end{align*}

となり、速度\(\boldsymbol v\)と加速度\(\boldsymbol a\)は

\begin{align*}\boldsymbol v’&=\boldsymbol v-\boldsymbol V\tag{18}\\\boldsymbol a’&=\boldsymbol a\tag{19}\end{align*}

の関係を満たす。また、微分演算子はナブラ\(\boldsymbol\nabla\)を用いると

\begin{align*}\boldsymbol \nabla’&=\boldsymbol \nabla\tag{20}\\\frac{\partial}{\partial t’}&=\frac{\partial}{\partial t}+\boldsymbol V\cdot\boldsymbol \nabla\tag{21}\end{align*}

とシンプルに書くことができる。

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次ページから…

次ページでは、ニュートンの運動方程式がガリレイ変換の下でどのように振る舞うかを詳しく検証する。特に、媒質が存在しない場合と存在する場合に分けて、方程式の形が不変に保たれることを具体的に示す。また、媒質の静止系を基準にした記述において一見不変性が破れるように見える理由を明確にし、物理法則の記述における自由度の扱いについても整理する。


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