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井戸型ポテンシャルの超対称パートナー

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本ページでは…

 本ページでは、超ポテンシャルを用いて、井戸型ポテンシャルの超対称パートナーがペシュル-テラーポテンシャルであることをみる。

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 これまでのページで、超対称パートナーである2つのハミルトニアン\(\hat H_{\scriptsize +}\),\(\hat H_{\scriptsize -}\)は超ポテンシャル\(W(x)\)を用いて次の形になることを見た。

\begin{align*}\hat H_{\scriptsize +}=-\frac{\hbar^2}{2m}\frac{d^2}{dx^2}+V_{\scriptsize +}(x)\tag{1}\\\hat H_{\scriptsize -}=-\frac{\hbar^2}{2m}\frac{d^2}{dx^2}+V_{\scriptsize -}(x)\tag{2}\end{align*}

\begin{align*}V_{\scriptsize +}(x)=\frac{1}{2m}(W'(x))^2-\frac{\hbar}{2m}W^{”}(x)+\epsilon\tag{3}\\V_{\scriptsize -}(x)=\frac{1}{2m}(W'(x))^2+\frac{\hbar}{2m}W^{”}(x)+\epsilon\tag{4}\end{align*}

 また、超対称パートナーハミルトニアンのエネルギースペクトルは励起状態では完全に一致し、基底状態ではどちらかまたはどちらも消失することを見た。そして、基底状態の消失は超ポテンシャルの形によって決定され、超ポテンシャルが

\begin{align*}W(x)=a_{\scriptsize 0}+a_{\scriptsize 1}x+a_{\scriptsize 2}x^2+\cdots+a_{\scriptsize n}x^n\tag{5}\end{align*}

の形のとき、ウィッテン指数\(\varDelta _W\)は

\begin{align*}(\text i)&nが偶数,a_{\scriptsize n}<\ 0\rightarrow \varDelta _W=-1\\(\text {ii})&nが偶数,a_{\scriptsize n}>\ 0\rightarrow \varDelta _W=+1\\(\text {iii})&nが奇数,a_{\scriptsize n}<\ 0\rightarrow \varDelta _W=0\\(\text {iv})&nが奇数,a_{\scriptsize n}>\ 0\rightarrow \varDelta _W=0\end{align*}

となることを確認した。ここで、ウィッテン指数は、基底状態における波動関数\(\psi_{\scriptsize {E,+}}\)の数を表す\(\mathcal N^+_{\scriptsize E=\epsilon}\)から、波動関数\(\psi_{\scriptsize {E,-}}\)の数を表す\(\mathcal N^-_{\scriptsize E=\epsilon}\)を引いた数である。

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内容

 今回、井戸型ポテンシャルとして

\begin{align*}-\frac{\hbar^2}{2m}\ \ \ -\frac{\pi}{2}<x<\frac{\pi}{2}\\+\infty\ \ \ \vert x\vert>\frac{\pi}{2}\end{align*}

の形を考え、超ポテンシャルが次の形で与えられているとする。

\begin{align*}W(x)=-\hbar\log\vert\cos(x)\vert\tag{6}\end{align*}

すると、超ポテンシャルの1階微分と2回微分、そして1階微分の二乗は

\begin{align*}W'(x)&=\hbar\tan (x)\tag{7}\\W^{”}(x)&=\hbar\frac{1}{\cos^2(x)}\tag{8}\\(W'(x))^2&=\hbar^2\left(\frac{1}{\cos^2(x)}-1\right)\tag{9}\end{align*}

で与えられ、超対称パートナーの関係にあるポテンシャルは

\begin{align*}V_{\scriptsize +}&=-\frac{\hbar^2}{2m}\tag{10}\\V_{\scriptsize -}&=\frac{\hbar^2}{2m}\left(\frac{2}{\cos^2(x)}-1\right)\tag{11}\end{align*}

となる。よって、ハミルトニアンは

\begin{align*}\hat H_{\scriptsize +}&=-\frac{\hbar^2}{2m}\frac{d^2}{dx^2}-\frac{\hbar^2}{2m}\tag{12}\\\hat H_{\scriptsize -}&=-\frac{\hbar^2}{2m}\frac{d^2}{dx^2}+\frac{\hbar^2}{2m}\left(\frac{2}{\cos^2(x)}-1\right)\tag{13}\end{align*}

という形になる(積分定数\(\epsilon\)はゼロとした)。また、超ポテンシャルの形は\(-\hbar\log\vert\cos(x)\vert\)であり無限遠\(\pm\infty\)で負に発散するため、ウィッテン指数は\(-1\)であり、\(\hat H_{\scriptsize +}\)の基底状態は消失していることが分かる。ハミルトニアン\(\hat H_{\scriptsize +}\)の2項目は\(x\)に依存しない定数項のためポテンシャル\(V_{\scriptsize -}\)は定数であり、\(\hat H_{\scriptsize +}\)は井戸型ポテンシャルのハミルトニアンになる。一方、井戸型ポテンシャルのハミルトニアンの超対称パートナーハミルトニアン\(\hat H_{\scriptsize -}\)のポテンシャル\(V_{\scriptsize -}\)は非自明な形

\begin{align*}V_{\scriptsize -}=\frac{\hbar^2}{2m}\left(\frac{2}{\cos^2(x)}-1\right)\tag{10}\end{align*}

であり、ペシュル-テラーポテンシャルと呼ばれる。このハミルトニアンの基底状態の波動関数は

\begin{align*}\psi_{\scriptsize { E,-}}&=N_{\scriptsize 0}\exp{\left(\frac{1}{\hbar}W(x)\right)}\\&=N_{\scriptsize 0}\exp\left(-\log\vert\cos(x)\vert\right)\\&=N_{\scriptsize 0}\frac{1}{\cos(x)}\tag{14}\end{align*}

である(\(N_{\scriptsize 0}\)は規格化定数)。

 以上より、井戸型ポテンシャルの超対称パートナーは非自明なペシュル-テラーポテンシャルである。(実際には、これ以外にも非自明な超対称パートナーが無数に存在するが、その事については後の記事で紹介する。)


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